ドア 【詩】
おまえ
開けちまったなそのドア
あれほど開けるなっていったのに
開けちまったな
見えるよな
見えるだろう
おまえが開けちまったもの
何千 何万の奇声が
聞こえるだろう
それは時には
生物の教師であり
時には
売れすぎたマンガ家であり
ああ
開けちまった
この饐えたにおい
教室の地下から
おまえの制服にからみつく
蒼白い植物の繊毛
美しい音楽が
聞こえるかい
夢のような映像が
浮かんでいるか
ヨードに染まった真珠が
おまえを腐海のなかに
沈めていく
進むしかない
おまえの選んだ道
行くしかない
アイマスクの向こう側
天使たちは泥にまみれて眠り
ヨードホルムの腐海が見える
このドアの向こう
何が見える