自然史 【詩/現代詩】
一夜が明け
鶴見川の痕跡を
あるいていくと 見たこともない
みみずが
湧いているのである
(僕は
マックに行くのをやめ
自然史の過程を
探査することにした)
この周囲には
ぺんぺん草ばかり生えている
毎日
ウタダを聞きながら通り過ぎていた
この土手沿いの道は
電柱が塞ぐように立っていて
時おり路面が凹んでいる
2000年前の鳥が舞う東の空
その美しい羽と
清楚な嘴が
みみずを咥えている
春一番が吹き
自然史が揺らいだその日
葦の茂る湿地に迷い込んだが
(ラムサール条約は失効している)
垂れ下がる電線から火花が散る
昨夜の雨が泥になる沖積平野
Y市西部の川原は
跡形もなかった
※
今日も店長は
調理場に洪水を起こしている
未知のハンバーグを増殖させる
有史以前の自然
珈琲の香りが磁気を帯びる
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