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「強み」を見つけ 発信しよう
初回のnoteでも触れましたが、いざナレーターとして活動を始めてみたけれども、思っていたようにうまくいかない、なかなか仕事に結びつかないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?その要因としては、残念ながらどうしても「経験不足」「練習不足」がまず考えられます。
1つ目の経験。初心者ならではの良さが一度ハマったとしても、同じような案件が再びくるとは限りませんし、時間が経つにつれ求められることも変化します。”待ちの姿勢”では仕事はきませんから、やはり初めは仕事を選ばず場数を踏み経験を重ね、フィードバックをもらうことはとても大切です。
また、2つ目にあたる日々の練習や研究といった努力もやはり欠かせません。滑舌練習は大前提として、加えてテレビのお仕事をしたいのであれば、やはり今よく使われているナレーターさんの特徴分析とコピー(シャドーイング)は日々しておく必要があるかなと思います。
そして、もう一つ可能性として考えられるのが「まだ強みが見出せていない」ということ。今回は、私が思うこの強みを把握し、発信することの重要性について順を追ってお話していきます。
「強み」を把握する意義
ナレーターを決める側も人間!「この人は何を強みとするナレーターなのだろうか?」が明示されていないと、指名するにも指名できません。例えば、新しい冷蔵庫を購入するのに”2024年最新版”であることだけを推されても、どんな機能があるか分からなければ購入できませんよね?それと同様です。
事務所に所属している場合はまた少々異なりますが、自分の強みや得意分野がきちんと把握できていないと、クラウドソーシングサイト等で何かしらのナレーション案件に応募する際のPRコメントもどうしても弱くなってしまい、他の応募者に負けてしまいます。
特に、日本人はあまり自分の強みや長所を主張するのが得意ではない方が多いかなと思いますので、私も含め、”意識的に”他の人に勝る「強み」、他の候補者と差別化できるポイントを押さえておくというのはとても重要です。
「強み」の見出し方
前提として、誰にでも「強み」が必ずあります!引き出せていないだけです。まずこのスタートラインにぜひ立ってください。
その上で、たとえ母数が少なかったとしても、応募した案件と実際に実施に至った案件の傾向を分析しつつ、もしクライアント側に聞ける機会があるならば、「何が良くて指名してもらえたのか」「結果どうだったか」を尋ねてみてください。声質なのか、質と価格のバランスが取れているからなのか、レスポンスの早さなのか。
声に関する部分だけでなく、例えば取り掛かりから納品までの速さというスピード感もやはりフリーランスにとっては大事なポイントです。そこが評価されたのであれば、それはそれで第1段階はクリア!そのまま「強み」を探究し続けてください。
事務所に所属している場合は、マネージャーさんに定期的に聞いてみると良いかと思います。ちなみに、私はいわゆる担当マネージャーさんという方はいませんが、各マネージャーさんにはお会いできたタイミングで、今の自分の読みの特徴や強み(弱み)などを定期的に聞くようにしています。(実は最近できていないので、近日中に聞きに行きます!)
「伝える相手」への意識
「強み」を把握したうえで忘れてはならないのは、それを伝える相手がいるということです。自分よがりの言い回しになっていないか、抽象的で分かりにくい説明になっていないか、客観的に見る視点も欠かせません。シンプルでわかりやすい言葉であることはとても大切です。
さらには、自分の強みを伝えたいばかりに、求められている条件とズレが生じてはいないでしょうか?制作サイドおよび発注側は「落ち着いたトーン、母が子に語り掛けるようなイメージ」と提示しているにもかかわらず、自分が得意とするめちゃめちゃ元気なものやバラエティ色の強いボイスサンプルを添付してはいませんか?
「これは私の得意ジャンルではないかもしれない」と思いつつも、もしかすると選んでいただけるかもと、条件に最も近いサンプルを提出することは全く問題ありませんが(むしろ是非やっていただきたい!)、そもそもボイスサンプルのバリエーションが少なかったり、自己主張ばかり強くなってしまっていたりしませんか?発注側との間に明らかなズレが生じると、「この人はなぜ応募してきたのだろう」ということになりかねません。
あるナレーターキャスティング会社主催のイベントに参加した際に、オーディションの応募時点で「この人は残念だな」と思うことがあるという話を聞いたことがあります。その理由として、「(応募書類の)字が汚すぎる」「読んでもらいたいという意志が伝わらない」「人に聞いてもらいたいボイスサンプルではない」などが挙げられていました。ナレーションは相手あってこそのお仕事なのに、全てにおいて「相手に伝えたい」という意識が全く抜け落ちてしまっている、と。
伝えたい相手が何を求めているのか、自分の「強み」を把握すると同時にぜひ大事にしていただきたいポイントです。
「強み」を発信する
今や様々なツールがあります。XやInstagram、個人ホームページも簡単に作成できますし、フリーランスで活動する場合は名刺やメールの署名部分なども重要な発信ツールです。どこでどう接点が生まれるかわかりません。今は自ら発信できている人がまずは一歩リードできる時代になりました。
とはいえ、「発信は苦手です…」という方が多いこともよくわかります。特に、ナレーターという職業は”黒子”であって、自らが出ていくのは少し違うと感じている方も多いです。私もそう思っていました。その上、発信は継続が必要ですし、楽しそうに見えて、実はそこへ費やす労力は膨大です。ですが、残念ながら待っているだけでは間違いなく仕事はやってきません。何か変わりたいと思っている方は、少しずつで良いので発信にもぜひ力を注いでみてください。
これは、事務所に所属している方も同様です。「私はこんな仕事がしたいと思っています」「先日の案件、とても面白くて、こういうのも好きなんだなと思いました」「最近こんなことを始めました」など、何でも構いません。マネージャーさんも人間ですから、日々の業務の合間に所属タレント全員のことを思い浮かべるのは至難の業です…。自戒の念も込めてお伝えしたい!何事も発信し、伝え届けること、これはとても大切です。
発信ツールおよび参考例
では、いざどのツールを用いるか?それぞれの向き不向きや価値観、見せたい姿などに合わせて選択することをお勧めします。
例えば、北川原志於さん。新人のテレビナレーターさんの中でも圧倒的な発信力を持つ彼女は、Instagramを中心に積極的な発信をされています。元々のポテンシャル+αの発信への努力がお仕事獲得に結び付いている良き例です。また、個人的にファンの阪井あかねさんはXをメインにラジオなどでも発信されている印象です。動画を作るのがお好きであれば、大江戸よし々さんもぜひ検索されてみてください。
私はあまり顔を出しての発信を好まないので、色々と試みた結果、このnoteという媒体が合っているかもしれないと思い、現状こちらに力を入れています。今ここでお伝えできるような具体的な案件には繋がっていないものの、今年頭に立ち上げたInstagramのナレーターアカウントとともに、実は少しずつ手ごたえを感じ始めています。
このように、人それぞれに合うツールがあるはずです。最初から選べない方は、まずはできること全てにトライしてみることをお勧めします。何が合うかわからないからと立ち止まっているよりは、色々と試してみて絞っていける方の方が、私はずっと前に進んでいけるような気がします。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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ナレーター 石井しおり
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