【Le Fils 息子】を観てきた。
タイトルの通り。現在東京芸術劇場で公演されている舞台、「Le Fils 息子」を観劇してきた。
主演の岡本圭人くんは、私が10年愛し続けたアイドルだった。
昨年秋、彼はアイドルとしての人生に幕を下ろし、役者として新たな一歩を歩み始めた。そんな彼の初めての主演舞台となれば、行かない理由が見当たらなかった。
2018年、フランスでの初公演から世界15の国と地域で上演されているこの舞台のあらすじを読まずに、まっさらな状態で観劇した。
結論から言おう。
重い。重すぎる。重すぎるけど、目を逸らしてはいけない内容だった。
圭人くん演じるニコラは、両親の離婚をきっかけに生きるのが苦しくなり、心が疲弊し、病を患ってしまう。
そんなニコラの気持ちをなんとか理解しようとし、彼を助けようと躍起になる父親のピエールと母親のアンヌ。
17歳という多感な時期に、自分を取り巻く環境が急激に変わり、それまでとは違う生活を余儀なくされる子どもの心と、そんな子どもを守り育てていく大人の思考について考えさせられる内容だ。と、私は思った。
ニコラの両親が離婚したのは、父親のピエールが別の女性と関係を持ったからだった。
それがきっかけで、ニコラは精神的に苦しみ、生きること自体が彼にとって苦しみそのものとなった。
大人の都合で苦しむのはいつだって子ども。それを真正面から突き付けられた気がした。
そして見ている途中で、自然とニコラを学童の子どもたちと照らし合わせている自分がいた。
ニコラと同じ状況が、小学生のうちに起きたら子どもたちにどんな影響があるのだろうか。
小学生と言っても、1年生と6年生では捉え方も考え方も、大きく違ってくる。
自分の思っていることを言語化することが出来ても、その解像度は1年生と6年生では圧倒的に違うし、6年生の中でも解像度に差が出てくる。ましてやニコラのような高校生とでは、解像の次元が違う。
そうなったとき、我々支援員はどうやって子どもに寄り添っていくのが正解なのだろうか。
劇中に出てきた精神科医は、医者としてド正論でニコラと両親をぶん殴っていた。でもそれは医者だからであり、教育者は医者と同じ正論で殴るのは違うと思っている。
私の学童では、今のところ通っている間にご家庭の事情が変わったという人はいない。小学校に上がる前に離婚した子や、初めから母親だけ、父親だけ、という子もいるが、どのご家庭も家族関係は良好。
だけどこれから、家庭環境が変わったという子どもが出てくるかもしれない。
そうなったときに、ひとりでもニコラと同じような子どもを増やさないよう、子どもに寄り添ってあげられる支援員になりたい。
愛すべき元自担を見に行ったはずなのに、自分のこれからの支援員としての在り方について考えさせられるとは思ってもいなかった。