没入感が削がれていく、瞬間がある
『ピエロがお前を嘲笑う』Amazon Prime Videoで鑑賞。
どんでん返しがいくつかあるという予備知識だけの情報、よし面白いかもで、鑑賞。展開はテンポもいいし、サクサクそうだね、そうだねという感じで映画が進む。むしろ進みがよすぎて(回り道エピソードが少ない)、もう少し混沌としてほしい感じ。
どんでん返しはネタバレになるので、何も言いませんが、観ながらのめり込む瞬間に急にブレーキを踏まれる感覚。自分で踏んでいるわけじゃなくて、映像側が踏んでいる。誰かに踏まれたブレーキ、ググっと目が覚めるというか、現実に戻る。
ヒロイン・マリ(ハンナー・ヘルツシュプルンク)はキレイな人だと思うが、主人公・ベンヤミン(トム・シリング)が恋焦がれてきた人というには、どこに恋してた?という説明不足感がある。恋に説明はいらないって?いやぁ、それはルッキズムみたいになっちゃうけど、超美人なら、「あぁ、顔ね」と記号的に入ってくるけど、そこまでじゃない。
「子どもの頃から好きだった」という設定だけで引っ張るには、なんかいいエピソードとかさぁ、必要じゃんッ。
そういう点で没入感が削がれていくんだよね。脚本はよくできていると思うし、ダークウェブで匿名の人たちが交流する感じも映像化できていていい感じ。
ハリウッドリメイクが決定したそうだが、こちらを越えられるかどうか。
原題は「Who Am I - Kein System ist sicher 直訳: 私は誰 - 安全なシステムはない」だけど、これを「ピエロがお前を嘲笑う」とタイトル付けしたのはさすがですね。
原題を改変した事例でピカイチなのは、『天使にラブソングを・・・』だと思います。原題は『Sister Act』。たしか『ランボー』は原題が『First Blood
』。こちらも、印象的で日本語にも「乱暴」という言葉があるので、耳馴染みのいい改変タイトル(ランボーは乱暴っちゃー乱暴ですが、一応は彼の正義を貫いているという点で、乱暴ともいいにくいというか。とにかく強すぎるね)
『ピエロがお前を嘲笑う』観て損はないと思います、映画の進行がやや説明的ですが、そのせいで分かりやすさを補えていると思います(よくある、アレなんやったっけ?的なことが少ない)。
おすすめの一作『ピエロがお前を嘲笑う』、ぜひご鑑賞くださいませ。
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