【短編・落語小説】死神の長財布
落語が好きだった。落語家じゃなくて、落語そのもの。好きな演目は「死神」。下げの種類は落語家ごとにオリジナリティをもたせているようだが、俺が好きなのはそこじゃない。あのろうそくを寿命に見立てているところが好きだった。
ろうそくの長さなのか、ろうそくの炎の勢いなのか、そんな話で飲み屋で喧嘩になったこともあるが、最終的には長さで決着がついた。目に見えないものを見えるようにするってのは、可視化なんていうらしいが、ずっと「カフカ」だと思っていたよと、カミさんに言ったら知的なんだかバ