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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、…
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#短編小説

【短編】地獄に落ちた猫のオプション

 屁みたいな間の抜けた返事はまさに「へ?」と一言だった。俺の口から屁が出たとでも言おうか…

塩かげん
2週間前
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【短編】お互い最大値が21になるときの、SとKの距離を求めよ

「やっぱり、ブルース・ブラザーズは映画で一通り観てから、SNLを楽しんだ方がいいんだって…

塩かげん
3週間前
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【短編】露出は黙して、饒舌に語らせる

 外壁工事、マンションだけではない。警察署も十五年経てば、ガタがくる。積み立て金などある…

塩かげん
3週間前
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【短編小説】地獄の休日出勤

 「山形さん、無理ですよぉ。そもそもですよ、罰として送り込まれる場所に、移住したがる人っ…

塩かげん
2か月前
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【短編小説】自白タイピスト

 ジメジメとした取調室には、水仙が活けられていた。似つかわしいとはとてもいえない、取り調…

塩かげん
2か月前
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【短編小説】ぼくたちの模範解答

 自分が被害者遺族になるなんて、思いもしなかった。誰もがそういうだろう。錠前耕一郎は今年…

塩かげん
2か月前
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【短編・落語小説】死神の長財布

 落語が好きだった。落語家じゃなくて、落語そのもの。好きな演目は「死神」。下げの種類は落語家ごとにオリジナリティをもたせているようだが、俺が好きなのはそこじゃない。あのろうそくを寿命に見立てているところが好きだった。  ろうそくの長さなのか、ろうそくの炎の勢いなのか、そんな話で飲み屋で喧嘩になったこともあるが、最終的には長さで決着がついた。目に見えないものを見えるようにするってのは、可視化なんていうらしいが、ずっと「カフカ」だと思っていたよと、カミさんに言ったら知的なんだかバ

【短編・完結】羊が復讐のログアウト

エピソード1:龍の左手をキミに  オープンタイプのアクションRPGはもうどれも似たり寄っ…

塩かげん
2か月前
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【短編】さようなら、殺人鬼

来留聡一郎の渇望 パンを食べるか、ごはんを食べるか。ここのごはんとは、ライスのことだ。ど…

塩かげん
3か月前
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【短編小説】特潜・実谷重綱が伺う

 沢城壮太は、震えていた。足もとからガタガタと震え、全身に悪寒が走る。風邪の時とは違う。…

塩かげん
6か月前
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【短編小説】バカは死んでも治らない

 伝説の勇者というと、聞こえはいいけど簡単に言えば人殺しだ。もう少しマイルドに言うと魔物…

塩かげん
7か月前
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死神を面接

「じゃぁさぁ、もう他にウソはない?言ってないこととか。全部、今なら考慮するから」 「いや…

塩かげん
8か月前
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隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-B】

SIDE-B 前略、笹岡倉穣一から殺人鬼へ   窓越し、またあの夫婦が騒いでいる。相変わらず朝…

塩かげん
8か月前
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隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-A】

 SIDE-A 拝啓、依田慎太郎と麻衣子から、殺人鬼へ  朝、玄関先に犬が死んでいた。死んでいたというよりも、殺されていたと言う方が正しいだろう。普通は驚きそうな朝のシーンだが依田慎太郎は、血を流して絶命している犬をじっと見ていた。 「麻衣子、ねぇ、麻衣子、今度は犬だよ」 「なによ、犬?また死んでるの?」 「違うよ、殺されてるんだよ。首から勝手に血がながれるものか」  依田麻衣子は夫の落ち着き払った姿にいつもながら頼もしさを覚えた。慎太郎は殺された犬に、昨日の朝刊をかけ、