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目標があるから頑張れる【はたらく細胞実写映画】
感想を一言で言うなら「生きるって大変」かな。
白血球も赤血球も登場人物みんなが一生懸命に働いている。
生きるものすべてはこうやってつながっていくんだな、巡っていくんだな、そう思えた。
笑いあり感動ありのいい映画だった。
※以下映画のネタバレ注意
原作コミックと映画の違い
原作コミックのはたらく細胞とはたらく細胞ブラックの世界線が組み合わさるとは思わなかった。
そこは見ていて一番びっくりした所だった。
私はブラックのコミック本編以外のスピンオフ?を
全部見てないので見当違いの事を書いていたら申し訳ない。
ブラック側の登場人物を良く知らなかったため余計にブラック側の赤血球が印象に残っている。
ブラック(お父さんの身体)の赤血球は環境が変わって
考え方も変わっていく姿を見ていたらすごく心を打たれた。
「環境が変わると人は変わる」は本当にそうで、
人は良いように変わるのも悪いように変わるのも環境に左右されるんだなと感じた。
本編のアニメやコミックではガン細胞を倒して彼らは彼らのまま物語は続いていくっていう終わり方だった。
今回の実写は物語の流れの都合上移植の際に一度細胞が全てなくなる。
また一から新しい世界が出来上がっていくという流れ。
この流れがとにかく切なくてしんどい。
けれど最後は希望が溢れた終わり方。
2時間っていう映画の中で収めるにはすごくいい構成だったんじゃないかと思う。
正直この映画でこんなに泣くとは思わなかった。
中盤からずっと泣いてた。
なんで俺じゃないんだよ
お父さんの「なんで俺じゃないんだよ」って言う一言が一番心に響いたなぁ。
お父さんは自分の娘がががんになるなんて信じられなくて。
がんには日頃の行いとか年齢とか性別とか何一つ関係なくてたった一つ何かの歯車が狂ってしまっただけ。
そんな些細なことで人生の、人の命はたやすく変わってしまう。
「なんで俺じゃないんだよ」を娘がもし聞いたとしたらどれだけ悲しいかと娘目線の気持ちも想像してしまい苦しくなる。
お父さんは何より大切にしてきた娘が苦しんでいるときに代わってやることもできず見守ることしかできず。
お父さんがお医者さんに何度も「俺ができることは何でもしますから」って口につい出してしまうシーンが多々あった。
これまたしんどくて見守るしかできないその視点がその気持ちを想像してまた辛くなる。
まさかこんなに映画に出てくる親子のストーリーで心を打たれるなんて思ってもなかった。
予想の斜め上の方向から打撃を受けたよ。
娘は早くにお母さんを亡くしてお父さんと二人で生活して、お父さんのためにご飯も作ってあげて栄養も考えてあげて。
お互いのことを思い合ってる家族だって日常シーンですごく伝わる。
登場人物に感情移入してみた映画だった。
家族テーマの映画にすぐ感動してしまう
なんだか年々家族をテーマにした物語へこ感情移入がすごくてすぐに泣いてしまうなぁ。
家族への愛を感じられるそういう歳にいつの間にかなったんだなぁとも思う。
いいことなのかもしれないけど、いろんなことを考えてしまってあまりにもしんどい。
ハンカチも何も用意せずに身軽な状態で行って
服の袖で拭うという暴挙に出てしまうぐらいには泣いたなぁ。
袖冷たくなったよ…
まっすぐ働く細胞たちの姿がまぶしい
自分の仕事をまっとうする細胞たちの眩しい笑顔に憧れを抱くくらいには社会人として社会に揉まれてしまったなぁとちょっと思った。
自分はこれほど強い意志を持って働いているだろうか。
仕事だけじゃなくたって家族の中での自分の役割を全うしようとしているだろうか。
もちろん無理をして働けばいいってものじゃない。
けれども自分の仕事を役割を全うしようとまっすぐ突き進むそんな姿に憧れを抱くぐらいにはまだ若いのかもしれない。
働きすぎて体を壊すなんて元も子もない。
それこそ映画のエンディングで流れてた「体調管理大事」という言葉に尽きる。
試験に臨むニコちゃんの自分への戒めを見て何事もほどほどが大事と思う。
でもやっぱり自分の生きたい姿なりたい姿があって目指したいものがあるからだから人間は前を向いて歩けるんだと思う。
なりたい憧れの姿やりたい姿向かっている先はいつだって遠くて全然なれない。
なれないなら諦めようって思うこともあるけれどそれでも諦めない。
諦めなければ必ず叶うわけじゃない。
決してそんなことはないことは十々承知だけれど、
でも目指すのは勝手だとそう思う。
ちょっとでも近づけたらそれでいい。
自分が納得できるところまで行けたのならそれでいい。
自分がやりきったとそう思えるところまで行くことが大事なんだと最近ようやくわかった。
何よりも大事なのは諦めない心なんかじゃないやりきる力なんだと知った。
諦めなければなれるのだったら何もしなくてもみんななりたい姿になれる。
自分がやりきったと思えるまで歩むことが、
自分の人生を歩んで行くこと。
時には休憩しながらね。
決して人生はそんなことなくて
赤血球さんのように道に迷いつつ、
うまくできない自分に落ち込みながらも
悩みながら必死に仕事をやりきろうする姿勢が眩しい。
日々努力して初めて迷えずにたどり着けたときには「よし」と納得いくところまでできたという顔を見せた赤血球さん。
その姿を見て忘れてたなぁと思った。
なりたい姿があり自分の納得いく道筋を描いていく。
時には迂回して後退しながら。
人生なんてだいたいそんなもん。
まっすぐな決められた道なんて一つもなくて、
日々ひたすら自分が納得のいくところまで少しずつ着実に進んでいく。
そういったことが大切なんだと思う。
なかなか自分はやれてないなぁとも思う。
もっと頑張ろうと前向きになった映画だったな。