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【生産性のモノサシ】 「OJT完全マニュアル」 2015(2)

松尾睦(まつおまこと)「OJT完全マニュアル」2015

計画の実行

「私は常にあなたのことをっ見守っている」というサインを送る

  • 育て上手は、部下と頻繁にコミュニケーションすることを心がけ、「見守り」サインを送り、「聴く」を重視する。

  • 「見守り」サインの送り方: 視線を送る、声かけする、日報のフィードバックを必ず行う、メモを渡す、メールする、他メンバーに指導をお願いする(間接的に「見守り」サインを送る)。

  • 「見守り」サインを上手に送れば、職場や部下に張り付く必要がないので、指導する側も楽になる。

聴く機会をさまざまに工夫して、しっかり「聴ききる」

  • 1on1では、メモをとりながら聴く。メモを取っていれば、気になる箇所があっても、さえぎらずに最後まで聴ける。

  • 聴ききってからアドバイスする(アドバイスが部下の心にスーッと入る)。

  • 部下の異変を感じた時には、やり過ごさず、すぐに声かけして、何があったのか聴き取る。

  • 朝礼や定例ミーティングの場など、部下に発表する機会をアレンジして、職場で共有したり、励ましたりする。

質問し、本人の考えを語らせる

  • クローズ質問とオープン質問の使い分けを工夫する。

  • クローズ質問: 「はい/いいえ」「やる/やらない」など。① 簡単に答えられる、② 結論が明確になる、という長所がある。しかし、聞かれたほうが問い詰められているように感じるという短所があるので、使いすぎない。

  • オープン質問: 「~についてどう思う」「~をどうしたいの」など。① 主体的に考えさせられる、② 深く考えさせられる、という長所がある。

  • 目指すのは部下が「~したいと思うのですが、いかかでしょうか」と提案型で相談するようになること。「どうすればいいですか?」(丸投げ型)で聞いてくる部下には「どんな選択肢があると思う?」と、質問して提案型に誘導する。

  • 部下の相談が要領を得ないときは、一度メモに書き出して整理することを奨める。

実力に応じた余裕を持たせる

  • 実力不相応なスケジュールや成果目標で追い詰めると、安全・品質・顧客満足にかかわるような重大事故に結びつく。

  • 「正しい手順を踏んでいるか」「お客様の話をじっくり聞き、丁寧に接しているか」「チーム内のコミュニケーションが疎かになっていないか」といった「行動の質」に目配りする。

  • 「行動の質」が低下していると感じたら、余裕をもった計画に軌道修正し、まず「行動の質」を立て直す。回り道だが、結局は早くて安全に成果が出る。

  • 上司先輩の問題行動を調査した研究では、頻繁すぎる進捗フォローなどの管理過剰が「潰し屋上司」の特徴であることがわかっている。

トラブルの対処

まず本人の気持ちを落ち着かせる

  • 「見守り」サインと「聴ききる」面談で、日頃から相談しやすい雰囲気をつくっておく。トラブルの報告や相談を受けたら、まず話を聴く時間をきちんと確保する。

  • トラブルでショックを受けている部下を追い詰めると、かえってややこしくなる。「なるほど」「そうか」「わかるよ」「○○だったんだね」(オウム返し)「それでどうなったの」「それをどうしたいの」など、質問しながら、部下を落ち着かせ状況を聴きだす。

  • 「取引先の担当から○○って言われたんですけど、そんな言い方ってないですよね」といった感情的発言には、判断やアドバイスを保留する。「なるほど、そう感じたんだね」と共感だけ示す。

トラブルの全体像を「見える化」する

  • 経験不足の部下は、経験者に比べて「段取り力」や「見渡し力」が弱いので、トラブルの全体像がうまく説明できないことがある。

  • プロセス、関係者、時系列などを明らかにする発問を繰り返しながら、トラブルの全体像を「見える化」する。

  • 事実と意見を切り分け、本人の思い込みをほぐす。

部下の能力によって関与する度合いを変える

  • トラブルを乗り切ることで成長する部下は多い。部下の能力や業務へのダメージを秤(はかり)にかけて関与の度合いを変える。

  • 部下の能力が高い場合には、口出しを最小限にして、応援しつつ見守る。

  • 能力が中レベルの場合「どんな選択肢があると思う?(選択肢)」「何を重視して解決すべきだろうか(優先順位)」と発問し、最適解を見つけさせる。

  • 能力が不足しているときは、一緒に解決策を検討し、To Do リストや挽回計画に落とすところまで見届ける。

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