カゲ色なしで絵を成立させる研究
今年初めに描いたイラスト(見出し画像に使ってます。トリミングした方がいいみたい)が惨敗に終わり、何が良くなかったを追求してみた。
色々ボロボロでてきたが、その中でも以前から気になっていた"コントラストの弱さ”。同じような失敗をした事を思い出す(詳しくはこちらに↓4巡目のとこです)。
カゲ色なしの研究・実践
自分はどうも明暗が苦手なようである。思うままに色を塗ると、コントラストがなく見づらいイラストになってしまう。
これを改善するにはどうしたらいいだろう?
最初にモノクロで塗ってみたらどうか?…などなど。
自分の苦手なところを見つけて改善していくのは得意だ。
でもふと思った。
自分はキレイな色だけを使いたいのではないか?
絵としての成立ではなく(勿論それも大事だが)、まずは自分の気持ちを1番に考えてみようと思った。
その結果行きついたのが『そもそも明暗差がなければ成立し得ないのか?』
結論から言えば、『いや、そんなことはないだろう』。
例えば可愛いキャラクターイラスト。
明暗差などほとんどないではないか!
でもじゅうぶんに成り立っている。
そこにヒントがある!!
という事で、キャラクターイラストを研究してみた(正月から何やってんだよw)。
最近流行ってるらしいかわいいやつと老舗メーカーの王道キャラを幾つか見て、分析してみる。
ほうほう、なるほど。
分かってきた気がする。
この研究を元に、カゲ色なしで成立させられないか、自分なりに整理して描いてみる事にした(自分で描けない限り分かったとは言えない)!
元の写真はフリー画像より拝借(フードイラスト好きなので。こういうの大事!)。
1:主線を細いぺンで、固有色をフラットにおく。
パッと描いて塗るといつもこんな感じになる。
そして、わあ、成立しないー(>A<。)といつもあわあわするw(今回は俯瞰して見ていられているが)
まずは手前のモチーフを浮き立たせたい。
2:太い均一な輪郭線を手前にだけひいてみる。
確かに浮き出ているけど、後ろとの差がありすぎるかあ。
3:全部同じ太さで主線を引く。
これだとやっぱりうるさすぎる。調整しよう。
4:後ろのモチーフの線を細くする。
いい感じになってきたぞ!
もうちょっと何かできるかな?
5:後ろの線を淡くする。
より奥行き感がでた!
主線に関してはこんなところかな。
色味を何とかすると、もっと良くなりそう。
6:手前の色の彩度を上げ、後の皿を少し暗くする。
より、手前が進出、後ろが後退して見えるようになった。
前後の空気感を感じる!
7:ハイライトを入れる。
急に完成度が上がった!
まとめてみるとこんな感じ↓
分かりやすい!なるほどな~!
4(色は6と同じにしたもの)と6、7あたりは、イメージや内容により、お好みの段階で完成としてもいいかもしれない。
やってみて、フラットに固有色を塗る場合、輪郭線を太くするのはとても有効だということが分かった。
繊細さと両立したい
主線がくっきりだと視認性はいいけど、元気・ポップな印象になる。
そういう表現をしたい時はいいけれど、自分としてはもう少し繊細さが欲しい。
違う印象は作れないかな?とやってみた。
(ハイライトがあると比較しづらいので、ハイライト無しバージョンで比較していく)
・試しに主線の色を明るくしてみる。
上・暗い、下・明るい色の線画。 左・主線の色同じ、右・後ろのモチーフは淡い色。
想像通り、明るいと柔らかい印象になる。
が、太い線はポップな印象を拭えない。
他、思い付くものをやってみた。
A:細ペン
B:太ペン(A、Bともに前回と同様。比較用)
C:にじみペン(抑揚有り)
D:2階調的
E:ペン画的
・C:にじみペン
繊細さはそれほどではないけど、味わい深くなり、素朴さが生まれる。
抑揚のある太い線は力強さにもつながる。
・D:2階調的
“的”としたのは、純粋な2階調ではないから。形状や状況が分かりやすいようデフォルメが必要になり、この辺がセンスを問われることになる。
上手くいけばスタイリッシュなカッコイイ絵になると思う。
・E:ペン画的
“的”なのは、ここに描いたものがちゃんとしたペン画になってないなあという思いから。
ペン画も描き方色々なので、描き方によって雰囲気は変わってくると思う。一般的には版画的というか、アンティークな雰囲気になって素敵。この中では1番繊細な印象。
固有色のみで成立させる為には、線画の状態で成立している事が必須なんだなー、とやってて分かった。
線画をのせたのはこの為。
細いペンだと絵として見れないが、他は既に絵になっているのが分かる。
それにしても、線画をどうするかだけでもこんなに違いがでてきて、とても面白い。
主線は細いまま、塗りを変えてみる
では違う部分からのアプローチ。
主線は細いまま、色の印象は変えずに、塗り方を変えて成立させられないか?
1:固有色をフラットに置いたもの(基準)
2:手前になるモチーフの周囲の線を消して、余白を取るようにする。
明度が同じくらいの色面には白で輪郭線を補強。
モチーフの回り込む部分に、同色を乗算30%で重ねる(カゲというより立体感を意識)。
3:日本画風。隈、照り隈を入れ、細やかにグラデ。
3T:3にテクスチャを加えたもの。細やかにグラデを入れようとすると色が浅くなりがちだが、テクスチャを加えたことにより鮮やかさが増した。と同時に紙の雰囲気もでて、一石二鳥。
2は白線で、3は一方を明るく一方を暗く強調することでコントラストを生み出し、輪郭線を際立たせている。
今回の研究で分かったこと
輪郭を太く、あるいは強調することで、輪郭線が浮き彫りになる。
カゲがなく、画面の明暗が弱い中、輪郭線自身がコントラストとして機能し、絵を成立させている。
結局、平面的な塗りの場合は輪郭線に頼るしかないのか?
いや、そんなこともないだろう。
こちらは平面的で主線もないが、ちゃんと成り立っている。
自分の中では既にある程度予測した答えがあるが…
この辺りはまた別の機会に考察したい。
とりあえず、固有色そのまま・カゲ色なしでも、絵として成り立つ事は実証できたと思う。
今回研究した要素を組み合わせるだけでも色々な表現ができそうで、とてもわくわくしている。
今はそれを試してみたい。
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