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ピロリ菌ってどこからきて胃の中に住みつくの?~長い歴史を経て人類と共に歩む細菌の正体~

要旨

本稿では、世界人口の約半数を感染するヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の歴史的共生関係、感染経路、胃内での生存戦略を解説します。H. pyloriは人類の移動と共に進化し、主に幼少期に口―口や糞口感染を通じて伝播します。胃の粘液層に潜伏し、ウレアーゼを用いて酸性環境を中和することで長期生存を実現。遺伝的多様性や胃内マイクロバイオームとの相互作用により適応を遂げ、慢性胃炎や胃がんのリスクとも関連します。最新の分子生物学・疫学研究を基に、H. pylori関連疾患の予防と治療の重要性を論じ、衛生改善や除菌治療の意義を強調します。

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