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日記 販売員をしていた時のお話 2


前回のお仕事の記事が、意外にも好評でしたので、また少し触れてみます。

なにか皆様のヒントとか面白いお話しになれば良いんですけどね。

販売の経験なんて極めてアナログなので、どうかなと思うのですが、なんであれお役に立てたら嬉しいです。

今から話すこともどのお店でも既にやってることだと思うので参考にならないかも、と思いますが、一応書いておきます。

興味本位でお読みください。

さて、さて、私は接客業をしていて一つ得意分野がありました。


それは、店内ディスプレイでした。

売り場作りが得意分野でしたので応援で他店の売り場作りを任された時なども、商品棚の高さをお客様目線に変えることで売り上げを上げたり、ラックを少し斜めにしてお客様の流れを変えてしまい、囲い込みに成功し集客が急激にアップしたこともありました。

そんなことで、と思うような些細な違いで、大きな流れを引き寄せたりすることが出来ることもあります。

私は商品の美しさを最大限に引き出す陳列が得意でした。商品価値が上げる売り場作りをしていまして、もう上下左右どの角度から見ても美しい売り場を心掛けてました。

ドレスのラックはグラデーションにして、滑らかかつ軽やか、人の心に訴えると言うか、一目見て心地良い心象を与えました。自分で言うのもなんですが、多くの商品がありながら、乱雑にならず売り場全体が一つにまとまり一体感があり、ハーモニーを奏でる感じ。

とは言え、限られた商品数です。うまく繋がらず流れが断ち切れて繋ぎ目が見えてしまうこともあります。そういう時はコサージュやストールなどの小物を使って一工夫し、アクセントに加え、美しく誤魔化してました。売り場にある物を全て無駄なく使う感じです。使えるものは全て使う主義でした。

ディスプレイはお客様の目を奪う第一歩。導入部分としてはなかなか外せないテクかなと思います。

あと一つ。次にお話ししたいのは販売の姿勢に関することです。

私が販売で扱っていた商品はカラーフォーマルだったのですが、商品が特殊だったのも一因にあると思うのですが、

パーティードレスの販売員になったばかりの頃は、お客様をお姫様だと思えと上司に教わりました。その方、元々はハイブランドに勤めていた方でして、皆さんもそれを聞くとなんとなくしっかり来るかと思います。要するに、お客様をおもてなしする土台がしっかりしている方でした。

初めは、お姫様と思えと言われても、なかなかはいそうですか、とは思えませんでした。

何故って、私はかしずいてご奉仕する侍女でも召使でもありません。初めはとても抵抗がありました。正直そんなへりくだってぺこぺこしてまでして売りたいとは思わなかったです。
初めはプライドが邪魔をしました。でもやっていくうちに少し勝手が違うことに気づきます。

意外にもお客様を尊重して、より先回りして動くことが結果、自分のリードにつながっているということでした。ですから初めは好き好んでませんでしたが慣れて来たらそこまで苦にならなくなっていました。

やっていたことは、膝をついて裾などのお直しをしてさしあげたり、その間もお客様を飽きさせないように必ず口も動かしてお客様を楽しませたり、

フィッティングルームでお召し替えの際もお連れ様も飽きさせないように椅子をご用意して話を振ったり、フィッティングから出たら、すぐに靴を履けるようにおサイズを事前にお伺いして並べておいたり。

またお待たせしないようにこちらで見立てた商品をご用意して並べ、準備を整えてお待ちしたり、靴を履かせて差し上げたり、鏡を勧めるにも、鏡をお客様の前まで動かして持っていく。

基本、お客様を動かすのではなく、まず自分が動く。お客様がお望みのものを察知して先回りするわけです。お姫様は指図をするだけにして差し上げる、といった構図です。

お姫様のように至れり尽くせり。他の商品も見たいとお望みならもちろんご案内。

綺麗に着飾り、魔法をかけ、幸福で夢のような時間を提供する。

こちらの専門知識や見立てを評価していただき、お客様が感動して信頼し任せてくださる。

接客が上手くいくとそんな感じでしょうか。

よくリードすると聞くと、自分が自分が、と前に出てしまう方が多く見受けられるのですが、決してそうではなく、あくまで引き立て役に徹し、その上でさりげなく手を取り、売り場の主導権を取り率先して先導する形ですとお互い良い形でスムーズかなと思います。

フォーマルは専門知識がないお客様にショールの結び方のレクチャーなどしたり、質問にお答えしたりすることがとても多かったです。

またパーティーの装いはそもそも目的買いが多く、お決まりになる確率も普通のお洋服などよりも確率としては高めでした。なのでその点は楽だったかな。

でもデリケートな商品でしたのでその分、フォーマルな知識やお直しなどのテクニックも必要でした。その点はあまり自覚してませんでしたが、他に比べたら大変だったかもしれません。


それから売り手と買い手の関係に関して少々。
ここで長年接客をして来て思ったことがあります。

いくらお客様は神様とは言えども、商品はお店のもの。当然と言えば当然ですが。

ですので販売員は売り場、商品を網羅しています。お客様を万全の体制でお待ちしています。いわば売り場は売り手の根城なわけです。

お客様はその根城に飛び込んでいらっしゃるわけです。

おそらく、お客様がお店の前に立って身構えたり、怖いとか近寄りがたいと感じるのもそのせいかもしれません。

でもお客様、お客様、と大切に扱われるとそれを忘れてしまうことがあります。根城をご自分の根城のように錯覚して自由に動き回るようになるわけです。

でもだからと言って「信用しないぞ!」とか、頑なに「買わないぞ!」とか「私は騙されないぞ!」という姿勢はあまりお勧めしません。

これは別に私が何か売りつけたり買わせる目的で言っているのではなく、〇〇しないぞ!〇〇されないぞ!は、守りに入ってしまっているというか、そもそも受け身の姿勢のため、逆に変な販売員を引き寄せ易くなるからです。

そのようなお客様は、例えば、せっかく優しい良心的な販売員さんがお声がけしても、お客様という上のお立場から、軽くあしらって邪険にしてしまいます。強い口調や強いあたりで、はねつけてしまい、寄せ付けないわけです。

で、その後が問題で。そうすると代わりに、もっと手強く、うわてでやり手の販売員さんがいるわけで、自ずとそういう販売員さんを引き寄せる、つまり向かっていくことになります。で、あえなく捕まってしまう。

結局やり込められて高額商品を買わされて損をしてしまっているケース。それでいてそのタイプのお客様は自分の負けを認めようとしない傾向が強い為、良い買い物をしたと最後まで自己満足に浸るケース。これ非常に多いのです。

ですので嫌かもしれませんが、もう少しガードを解かれて、お買い物をされると、案外良いお買い物ができるかもしれません。

まあ、今は販売員そのものが淘汰されていないのでその心配もあまりありませんが。

お勧めなのは、その辺のおばちゃんのように気さくに世間話や立ち話でもする気で、フラットな感覚を大切にすること。また困った時は販売員に素直に打ち明けてしまうことです。迷っているので、考えさせてもらっても良いですか?ごめんなさい、とか、色々見せてくださってありがとうとか、販売員さんも鬼ではないので、そこまで言われたら、引き下がります。


以上になります。
結局長々と書いてしまいましたが、ここまで面白がって読んでくださっていたら嬉しいです。


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