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【映画感想】 レイジング・ブル

1981年公開 128分 
監督:マーティン・スコセッシ 
主演:ロバート・デ・ニーロ


はじめに


ボクシングを題材にした作品には名作が多い。「ロッキー」しかり「あしたのジョー」しかり………
考えてみれば、ボクシングという競技は「友情、努力、勝利」という三大原則を網羅していて、それが直接的に表現されている。
(仲間、ライバルとの友情、トレーニングによる努力描写、勝利、または自身に打ち勝つなど)この大筋のわかりやすさと孤独にリング上で闘うボクサーというドラマがかみ合った結果、名作が生まれやすい土壌ができたのではないか?

いずれにせよボクシング作品にはロマンをくすぐる「なにか」があるのだ。

今回はレイジング・ブルはたしてどんな映画なのか?

あらすじ

「ブロンクスの怒れる牡牛(レイジング・ブル)」と呼ばれた実在のボクサー、ジェイク・ラモッタ。プロデビューし、着実に実力を付けていく。その後、市営プールでまだ15歳の少女・ビッキーと出会い、妻がいる身でありながら、ジェイクは彼女と交際し、ついには結婚。宿敵シュガー・レイ・ロビンソンを打ち倒すなど公私に渡り充実した日々を過ごす。
しかし、猜疑心から妻や周囲の人を信じられなくなり、周りから人が離れていく。怒れる牡牛は何処へ向かっていくのか………

感想

一言でまとめると、
1940年から1950年後半までのジェイクの栄枯盛衰を描いた物語。

クラブのコメディアンをしているシーンから始まり、ジェイクがミドル級チャンピオンの座に着くまでの紆余曲折を描いている。

ボクシングの試合というより、ある一人のボクサーの人生にフォーカスした映画であった。
ボクサーとしての圧倒的な強さと裏腹に精神的な弱さもフューチャーされていてその対比が印象的でした。

ボクサーとして目を見張る資質をもつジェイク、着々とキャリアを積んでいくが、猜疑心から人を遠ざけていく。

特に妻に対する執着は凄まじく、どこに出かけた? 誰と会ったか?など逐一管理したがる。しまいには反抗した妻には手を上げるなど、今上映されたら発狂もののDV男である。

個人的には兄弟ゲンカのシーンは試合よりも緊張感があってハラハラした、妻を他の男に取られはしないかという恐怖がジェイクをむしばみ兄妹との仲に決定的な亀裂を入れるまでになってしまう。
自業自得とはいえその転落ぶりは見ていて苦しい気持ちになってくる。

そして刑務所に入れられ、過去を嘆き、泣きわめく。
最後にはコメディアンとして鏡の前でつぶやき気合を入れてステージに臨む。
ボクサーとしての光を見た後の晩年の姿からは哀愁が漂うが、不思議と悪い気はしない、むしろ生き様を貫いた男の姿があり美しさを感じた。


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