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福井のそばについて語ってみる その3


庶民の暮らしと武士の暮らしとおろしそば

 暮らしの中で蕎麦はどう食べられてきたのだろう。昔の一般家庭では流しがないために、蕎麦を一般家庭では食べずに仏事の時に食べたという研究論文もあるけれど、私はどうかなと思っている。
 私の古い家はある小さな藩の町の中にあった町屋だけれど、井戸もあった。江戸のような計画的な井戸ではないが、きちんと家庭に井戸があり、近くには湧水があり洗濯や炊事に使うこともできた。
 越前市の街の中も、川から引き入れた用水が流れていた。ちなみにここでおむつを洗った女性が打ち首にあっている。飲み水としても活用していたのだろう。
 だから流しがなくて蕎麦が打てないというのは福井では少し違う気がするのだ。人が山の際に住み始めたのは薪という燃料があり、水があったからだ。平野に住むようになっても水は必要なものだ。田畑を潤す水がなければ、平野に住む意味はない。福井の平野には大きな川が流れている。三国からの北前船から荷は川を利用して運ばれたのだ。

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