俳句日記⑤
天道虫背負った星を知らずして
天道虫は自分がいくつ星を背負っているのか知らないだろう。七つ星なのか、二十八星なのか、はたまた二つだけなのか。
あれで仲間を見分けることはあるのかも知れないけれど、きっと自分の背負った星を見ることは一生ないのだろうな。
そんなことを思う。
天道虫が野に現れるこの季節、人間の世界にも、天道虫さながら大きなランドセルを背負った新一年生たちが現れる。ランドセルの下からシャツがはみ出したりしている子は、羽をうまく畳みきれなかった天道虫にそっくりだ。みんなに遅れまいと、慌てて駆けてきたのだろうか。
何かを背負い、あるいは背負わされ、人も虫も懸命に生きている。