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なまけもの
2023年9月4日 03:13
今回は、村上春樹の『ノルウェイの森』について。(半年前に読んだので、新鮮な読後感は薄れてしまった)37歳の僕が空港で耳にしたビートルズの曲を耳にし、大学生時代のことを回想することから始まる。自殺した親友のキズキと恋人の直子と、主人公のワタナベ。全体で見たその本の印象は、静かで荘厳だった。この世に生きる誰もが抱える昏い想いがありありと描かれている。それはきっと、この3人だけじゃ
2023年8月16日 01:38
時間とは何か、記憶とは何か時間は記憶を濾過していく。そんな冒頭で始まる、20歳の女子大生の年上の写真家との、ひと夏の恋。父を亡くして間もない藤子は、父と昔なじみの男、全さんと出会う。2人は交流を深めるにつれ、肉体関係をもつようになる。藤子が惹かれた全さんと、全さんが惹かれた藤子の描かれ方。そこには、年齢の差という障害を越えたものがあった。どうしても忘れられない、あのひと。
2023年8月15日 10:17
ずっと、読んでみたかった物語がある。それは、坂口安吾著の『夜長姫と耳男』。夜長姫との出会いこの小説とは、共通テストの1週間前、国語の問題を解いていたときにはじめて出会った。”好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ”夜長姫が耳男に告げた、究極の一言。このフレーズが、頭からずっと離れられなかった。大学に入ったあとも、頭の片隅には残っていたけれど、物語を読むきっ