改良

遠野遥さんのデビュー作品です。

この方の芥川賞受賞作の『破局』を先に読んで大ファンになってからこの本を買いました。

とっても読みやすいんですよね。1ページ辺りの文字数が少ないことも相俟って、1冊をあっという間に読んでしまう。

でも読み終わって「こんなにさっさと読み終わっていいタイプの本だったのだろうか」と自問することになるんです。もっとじっくり、噛み砕きながら読まなきゃいけなかったんじゃないかって。

私もこの小説の主人公と同じく、言いたいこと、言わなきゃいけないことの殆どを言えないタイプです。

でも何にも考えてない訳じゃない。何も言うことがないんじゃないんです。順番が分かんない。どこから、どういうふうに説明したらいいか分かんないんです。

こねくり回してるうちに時はどんどん過ぎてゆく。後から振り返ればあんなことが言いたかった、ここを聞いてほしかったというのが整理されて、優先順位も付けられて改めて腹が立ってくる。

それが想起されるのはソファでくつろいでる時とは限らない。あの時とは別の人間にはずかしめられてる今、前の虐待を思い返したりする。そしてムカつく。今殴ってるコイツもムカつくけど、前のアイツもムカついてきた。

というのがしょっちゅうあります。これ書いてる今もなんかムカついてきた。

人はみんな強くなきゃいけないの?言いたいことを言えなきゃまともに生きてく権利もないの?一人静かに生きていくことは許されないの?

傷つきたくないし、だれも傷つけたくない。ただ。

それはコミュニケーションの否定なんですよね。コミュニケーションを否定したら生きていけない。

そこで悩む訳だ。「生きる」って何だ?俺は誰だ?

陰キャですよね。内向き。暇。

外の世界にきちんと目が向いてる人には度し難い悩みですよね。

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