片付ける
この前、小津安二郎監督の遺作『秋刀魚の味』という映画を観ました。
例によって娘が嫁に行くまでを描いた映画なのですが、やはり今の時代にはそぐわない、というかあり得ない表現が随所に見られて興味深い。
特に杉村春子が演じた女性の描き方は受け入れがたいですよね。その時代にはその時代の常識というか、通念みたいなものは必ずあるから全部を否定する訳ではないけども、嫁に行かない女はかわいそう、という視点は今はいただけない。
同じ小津で前に観てびっくりした表現があったのですが、確か『秋日和』という映画で、娘を嫁にやることを「片付ける」と言う場面がありました。
独身の女性は散らかってるということなのでしょうかね?
ただ「そういう時代があった」ということは否定できない。言葉を刈ったり、配信を停止したりして歴史をなきものにしようとするのではなく、「この時はこういう表現をしていた」というのを、後世に遺しておくことが重要だと思います。