編集でこれまで最も苦労した本とは?
編集者が苦労する本には、どのようなものがあるでしょうか?
例えば、日本語が不自然、表記が不統一、などが主にあげられるでしょう。
また、著者が多い、ほとんどの画像データが粗いなど、あげればキリがありません。
ただ、最も苦労するものに、中国語の翻訳書があげられそうです。
私も過去に、いくつかの中国語翻訳書を担当してきましたので、思い出して書いてみます。
とくに苦労するのは、中国の漢字表記の校正。
日本語の漢字と似た場合が多いのですが、字形が異なる場合もあります。
例えば、对(対)、气(気)などは似ていますが、異なる表記になっています。
これら中国固有の漢字表記が正しく統一されて記載されているか、確認するのはやや時間を要する作業になります。
さらに、表記だけでなく、中国語の本で難しいものに読み方があります。
欧米などアルファベットを使っている場合、カタカナの振り方がほぼ決まっていますので、多くの苦労はないように思います。
ただ、中国語となるとそうはいきません。
漢字ですので、日本語にもとづいて読みがわかりそうですが、調べてみると全く異なる場合が多くあります。
例えば、北京は「ほくきょう」とは読まず、「ぺきん」ですね。
ただ、北京のように代表的な漢字で、読みがすっかり定着したものは悩みません。
ところが、北京ほどは知られていない表記には悩む時があります。
大連は「たーりえん」とは読まず、日本語読みのように「だいれん」と読むのが一般的でしょう。
中国語の実際の発音に近いのは「たーりえん」ですが、日本語として読んでいるようです。
では、中国語の場合はルビを振らずに漢字だけでいいかと考えたくなります。
確かに、本文では重要な漢字だけルビ、あまり出てこない漢字にはルビなし、という分け方はできます。
ところが、読み方が必要な場合が出てくるのです。
索引、そして参考文献です。
索引は五十音順に並べますので、読みがわからないと作れません。
また参考文献も同じく、多くの場合で五十音順に並べますので、読みが必要になります。
では結局、中国語の読みはどうすればいいか?!
ベストな方法は、著者に全て指示してもらう、というものです。
ただ、著者が忙しく、これが難しい場合も少なくありません。
次の方法として、編集者または翻訳者がネット・辞書を使って調べ、最終的に著者確認するという流れですね。
いずれにしろ、中国語翻訳書はやや慎重になる編集になります。
しかし、このような苦労する実務を通して、編集者として成長できるもの事実。
苦労はしますが、しっかりと取り組んでいます。
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