原稿を本にする

原稿を本にする

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編集とデッサンは似ている?

デッサンをするときはどこを目立たせて、どこを大人しくさせるかを意識します。 これによって、絵を見た人の意識を促し、絵の中で見てほしいところを際立たせます。 一度、全体を描いた後、大人しくさせたいところを練り消しで薄くします。 本を作る際にも、似たような作業はあるでしょうか。 想定よりも原稿量が相当に多くなることが、これまで何度もありました。 出版社側としては、ページ数が増えて印刷代がかさむことも心配です。 ただ、もっと気になるところは他にあります。 もっとも気になるの

    • 編集でこれまで最も苦労した本とは?

      編集者が苦労する本には、どのようなものがあるでしょうか? 例えば、日本語が不自然、表記が不統一、などが主にあげられるでしょう。 また、著者が多い、ほとんどの画像データが粗いなど、あげればキリがありません。 ただ、最も苦労するものに、中国語の翻訳書があげられそうです。 私も過去に、いくつかの中国語翻訳書を担当してきましたので、思い出して書いてみます。 とくに苦労するのは、中国の漢字表記の校正。 日本語の漢字と似た場合が多いのですが、字形が異なる場合もあります。   例え

      • 書籍編集者がとる資格とは?

        書籍編集者がとる資格には、どのようなものがあるでしょうか? 編集者はプロデューサーとしての役割が期待されるので、技術的な資格は必要ないようにも思います。 本当にそうでしょうか? 編集者の担当する分野によって、資格のあった方がいい場合もありませんか。 例えば、私の取引のある福祉関係の出版社の編集者は、社会福祉士の資格を持っていました。 また他にも、医療分野であれ、建築関係であれ、その分野にふさわしい資格を取ると、編集実務がよりスムーズにできるかもしれません。 一般的には編集

        • 本の紙面にQRコード載せるメリットは?

          編集代行の仕事を続けており、おかげさまで30社ほどの出版社さんとお仕事させていただいています。 その中で、最近の担当書籍で紙面にQRコードを入れるケースが増えてきました。 従来は、チラシや名刺にQRコードを入れることが多かったですね。 会社のホームページにいくよう促し、他の書籍も知ってもらう工夫です。 また本にデータを付属する場合は従来、巻末にCD・DVDを付録していました。 ただこの場合、製造コスト、流通コスト、さらに破損時の交換といったさまざまなコストがかかります。

          校正はプリントかPDFか?

          最近、PDF上で校正することが多くなってきました。 PDFの機能を使い、修正箇所にコメントを入れて指示します。 しかも、赤入れしたファイルをメール添付などで、すぐに送信もできます。 従来の紙による赤入れに比べ、確かに手早く、手間をかけずに赤入れ〜送信できるようになりました。 プリントして赤入れするのもいいですが、多少の手間がかかります。 プリンターの紙詰まり、トナー切れなど、アクシデントを考えると億劫になりませんか? そこでパソコン画面上で赤入れしようということに。 そ

          校正はプリントかPDFか?

          校正ゲラを扱うときの必需品とは?

          校正ゲラを手でめくるとき、うまくめくれない時がありませんか? 乾燥している時期などは、特にうまくいきません。 目次と本文の照合、柱の確認など、何度もめくる必要のある時は、素手では困ってしまいます。 出版に携わっている人なら、何かしらの工夫をしているのではないでしょうか。 多くみられるのは、指サック。 小さなゴム袋を指先に入れて、滑り止めにします。 でも、これはむれますね。 夏などは、指が汗をかき、袋の中で滑っています。 できれば、使いたくないところです。 もちろん、指

          校正ゲラを扱うときの必需品とは?

          「することができる」は冗長な表現か?

          「上記のような見解に対し、以下のことを推察することができる」 こういった文章を見ると、後半部分「推察することができる」を「推察できる」に言い換えたくなります。 このような感覚を持つ編集者は多いのではないでしょうか。 私の場合、編集+組版も同時に作業していますので、気づいた時にインデザイン上で修正してしまいそうになります。 本当に、修正していいのか? いつも悩ましく思います。 先月まで、考古学関連の書籍、A4サイズ・380ページの編集+DTP制作を担当していました。 校了

          「することができる」は冗長な表現か?

          本の特設サイトづくりのポイントとは?

          最近、いくつかの版元さんからの依頼で、本の特設サイトをつくることが増えてきました。 私は図書編集者ですが、Javascriptやphpなどのプログラム言語をつかってサイトづくりから運営をしたり、ランディングページまたは特設サイトという、いわば「web上のチラシ」づくりの仕事も引き受けていました。 サイトづくりで多いケースは、私が担当した本の特設サイトをつくるというもの。 自分が担当しただけに、その本の想定読者、アピールポイントもよくわかっています。 さらに、同時にDTP制

          本の特設サイトづくりのポイントとは?

          見出し付け、どうしています?

          編集実務の中では割と珍しいことですが、稀に見出し付けを依頼されることもあります。 著者が付けるのがベストですが、時間がない、うまくできないなど、編集サイドで行う場合もあります。 見出し付けのポイントは、 ・読者の人物像に合ったテイスト ・読者興味に見合ったもの ・長すぎない ・説明的すぎない ポイントを上げるのは簡単ですが、実際してみると、なかなかうまくいかないこともあります。 編集担当になれば当然、本文を読み、内容をきちんと理解しますね。 そうすると内容の全体像とと

          見出し付け、どうしています?

          共著の書籍の進行

          研究書の編集+組版を担当する場合、やはり単著よりも作業工程は増える傾向があります。 まず入稿段階から。 期日どおりの入稿であれば何も問題ありません。 しかし、そのようなことばかりではないのが実情ですね。 このような場合、こちら編集担当から催促させていただきます。 相手が1人2人ならまだしも、10人、ときには20人ほどに連絡しなければならないときもあります。 このとき、どのようなハプニングが起こるでしょうか? 自分の経験では、 ・メール連絡するとき、名前を他の著者の方と間違え

          共著の書籍の進行

          参考文献の整理は地味に大変

          編集作業をしていると、いつも悩ましく感じるものに、参考文献の整理が挙げられませんか。できればスムーズに済ましたい……というわけにもいきません。本文の信頼性を担保し、より詳しく知りたい読者のために更なる情報の提供という意味もありますね。大事な編集実務の一つでしょう。 書式も定まっているようで、いくつかのルールがあるようです。 SISTでは、記載方法を明記しています。こちらを参考にする著者・編集者もいるかもしれません。ただ、必ずしもこれに従う必要もないし、実際従っている本も多く

          参考文献の整理は地味に大変

          表記の統一はいつも悩ましいもの

          表記の統一はいつも悩ましいもの。 漢字か平仮名か、多出か出版社のルールか、など。 表記統一でよく見られるものを、下にあげてみます。 理系文系問わず、学術書や実用書は画一的に統一する傾向があると思います。 エッセイや文芸書は画一的にはせずに、個性を活かすようにあえてそろえないことも多いようです。 自分が編集・校正担当するときは、多出のものにそろえ、悩ましいものは著者に疑問出しすることが多いと思います。 表記ゆれの多い本は、その品質と信憑性が疑わしくなるもの。 表記ゆれ、さら

          表記の統一はいつも悩ましいもの

          書籍制作の追加赤字

          書籍の編集+組版をしています。 ものすごい量の追加修正が来た。 もう校正ゲラに書ききれないほどで、別紙に修正内容が溢れ出ているほど。 著者のかたも後から気づくことがあるでしょうから、仕方ない。 速やかに修正対応。 文字打ち直し〜原稿差し替え〜正しく修正できたか確認。 修正が終わった途端、その追加修正に対するさらなる追加修正が到着。 こちらは大した量ではないので、速やかにこちらも修正、そして完了と。 印刷入稿の段階ではないので、こちらから校正を出したものに対して赤字を入

          書籍制作の追加赤字

          自然言語処理で思想家の文書特徴を把握する

          今回のプログラムのねらい主だった近代日本思想家から「経験」にまつわる論文を選び、それらの文書特徴を把握する。 自然言語処理でよく使われる手法である、re.subを使った正規表現によるクレンジング、janome.tokenizerによる形態素解析、part_of_speechによる特定品詞の抽出、ストップワード削除、word2vecによる単語のベクトル化、などによって特徴把握を目指します。 環境Python 3.8.10 Google Colaboratory プログラム

          自然言語処理で思想家の文書特徴を把握する

          自然言語処理のレッスン1

          google colaboratory上でpythonコードを書きながら自然言語処理のレッスン中。その備忘録。 形態素解析のためにjanomeを動かそうとするが、以下のエラーが発生。 ModuleNotFoundError: No module named 'janome' 間違いなく既にjanomeはインスト済み。 とにかく再度以下を実行。 !pip install janome google colaboratoryでjanomeなどモジュール使うには、毎回インストしなく

          自然言語処理のレッスン1

          編集サイドか著者サイドか、悩みどころ

          校閲の記事が出ていました。 あまり出版の内情に触れた記事が出ることは少ないので、こういった記事は目に留まります。 『いちばんやさしいWeb3の教本』という本で、出版社はインプレス。 こちらの本で事実誤認が多く見つかり、回収を決めたということでした。 このようなことは特に書籍編集者ならば、日常業務を思い出すのではないでしょうか。 どこまでファクトチェックすべきか?は、いつも悩ましいところです。 どの範囲までこちらでチェックし、著者に任せていいのはどのような範囲になるのか。

          編集サイドか著者サイドか、悩みどころ