【雑日記2】「予想どおりに不合理」の面白テスト
人の心理って面白い。アメリカの大学でこんなテストをしたみたいだ。
経済学を学んでいる学生たちがいる教室で、授業の前に「ちょっと聞いて欲しい」と言って、誰だかわからないおじさんが10分間、経済学者が書いたとされる詩を朗読する。
そして、今週末の夜に再びこのおじさんによる詩の朗読会をやると伝える。
座席に限りがあるので、参加者はオークションで決めることにしたと伝え、入札の値段を書く用紙を一人ずつ教室を出たところで配った。
この時テストの運営側はグループを2つに分けており、
Aグループの学生には「仮定の話として、10分間の朗読にあなたは10ドル払いますか?」と質問をしてから、用紙を渡した。
Bグループの学生には、「仮定の話として、10ドルもらえるとしたら10分間の朗読を聞きますか?」と質問をしてから用紙を渡した。
さて、結果はどうなったでしょう。
Aグループは、全員「払う」金額を書き。
Bグループは、全員「もらう」金額を書いた。
まず朗読したおじさんは、朗読のプロでもなんでもない素人のおじさんだった。朗読のスキルは皆無。そのことは学生には伝えていないが、聞き惚れるようないい声でもなければ、上手なわけでもなかったはずだ。
これは一体何のテストだったのかというと、
人は前提の設定(アンカー)に影響を受けて、その後の選択を決めてしまうという心理学の「アンカリング効果」を試すテスト。
「払う?」というアンカーを仕込まれた学生は皆、お金を払っておじさんの朗読を聴こうと思った。
「もらう?」というアンカーを仕込まれた学生は皆、お金をもらっておじさんの朗読を我慢する気でいた。
同じ事象に対して解釈が180度変わってしまったという話。なんでこんなことが?
人は判断を相対的にしているってことらしい。自分で聞いた朗読の品質で払うかもらうかを判断できない。
僕も想像してみた。やっぱりAグループにいたら、払う金額を書いて。Bグループだったら、もらう金額を書くとしか思えない。(おじさんが自信たっぷりに朗読してたらなおさらわからない…)
ちなみに。おじさんは払う側の学生の書いた金額を見て(もしかしてこれ副業でイケるかもしれない)と思ったとか思わなかったとか…笑
僕たちの行動はこんな小さなきっかけ一つで、簡単に誘導されてしまうものらしい。
払うかもらうのかをはじめに説明していないので、ずるいと言えばずるいテストではあるが、そもそも払うかもらうかはおじさんの朗読の品質によって自分の意思で決めていいはずだ。でもそれができない。
僕たちはいつも自分の意志で選んだり決めたりしているようで、実はそうでないのかもしれない。常識ってアンカーのことなんじゃ…
あらゆるものが実は相対的ってことならば、「正解」も「不正解」も本当はあやふやだってことになるんじゃないかな。
どんなに優秀な人でも、このくらいのポンコツ具合はみんなに備わってると思うとちょっと和む。
そして、この心理学はきっと「マーケティング」というものに大いに使われているに違いない。(確信)
2024.4.18
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