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ストレスに弱い人はネガティブ感情の区別が苦手
私たちは普段生活をしていると、楽しい出来事も嫌な出来事もさまざま経験します。
そして、嫌な出来事を経験すると、さまざまなネガティブ感情を抱きます。
そのようなときに感情にそれほど影響されないストレスに強い人と、影響されてしまうストレスに弱い人がいます。
両者には、一体どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、その違いの一つとして感情の処理の仕方についてお話します。
ストレスに弱い人は、嫌な経験をした時に抱くネガティブな感情の区別がうまくできていません。
出来事に対して、「悲しみ」や「怒り」、「恥」など、何かしらの種類の感情を抱いているわけです。
しかしながら、その区別ができずに、漠然と「傷ついた」といったように未分化な感情表現になっているのです。
2012年にミシガン大学が行なった研究があります。
被験者に一定の期間自分の感情の動きを記録させました。
それによって、ネガティブな感情の処理について調べたのです。
結果として以下がわかりました。
・ストレスに弱い人ほど、自分のネガティブな感情を区別するのが苦手。
・ストレスに強い人ほど、自分のネガティブな感情を区別するのが得意。
ストレスに強い人は、今自分が抱いている感情を言葉ではっきりさせることができているのです。
このことを「感情のラベリング」と言います。
これは、客観的に自分を認識している状態であり、「メタ認知」と呼ばれます。
メタ認知ができるだけでネガティブな感情の度合いを下げることができるのです。
また言語化によってネガティブな感情がはっきりすると、恐怖心や攻撃性などを司る脳の部位「偏桃体」の活性を抑えるとも言われています。
嫌な出来事を経験してから、今自分が抱いている感情の種類を区別して言葉に表せるとよいのですが、それが苦手な人はこのような工夫をしてみましょう。
あらかじめ、感情の種類の言葉をリストにしておく。
・悲しみ
・怒り
・恥
・罪悪感
・孤独感
・嫉妬
・劣等感
などのように。
そして、嫌な出来事を経験して、ネガティブになっているなと思ったら、リストのうち自分は今どの感情なのか区別するのです。
スマホのメモに入れておいて、都度見て選択するのもおすすめです。
それを習慣にして、徐々に感情のラベリングができるようになっていきます。
心理カウンセリングの場面でも、はじめは漠然とした気持ちを語っていたクライエントさんが、カウンセラーに話を聞いてもらううちに感情を言語化できるようになり、気持ちが楽になるという現象が起こります。
これも感情のラベリングが働いているのだと思います。
今回は、ストレス対処法として、ネガティブな感情を言語化する感情のラベリングを紹介しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【参考文献】
『ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』(鈴木祐 鉄人社)
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小林いさむ|公認心理師