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正論で指摘しても人の心には刺さらない

今回は、誰かに助言をする時に気をつけていることを一つ話します。
 
 
助言をする立場、関係性がありますよね。
上司が部下へ、先輩が後輩へ、先生が生徒へなど。
相談を持ち掛けられることもあれば、業務として行わなければいけないもあります。
 
相手の課題を考えて指摘してあげたのだけれども、どうも心に届いていない。
それどころか言われたくないことを言われたせいか、信頼してくれなくなってしまう。
 
そのようなことはありませんか?
 
今回は、助言や指摘の前に少し考えてみていただきたい内容です。
 
基本的な話にはなりますが、助言や指摘をする時に気をつけるべきことをお話します。
そのようなシーンで参考にしていただければと思います。




記事のタイトルは、「正論で指摘しても人の心には刺さらない」としましたが。
「正論」→「自覚していること」と変えても良いと思います。
 
「正論を言われたくない」とぼやく人の話をていねいに聞くと、「自分でもわかっているけど改善するのが難しい」と表現されます。
 
相手のことを思って助言や指摘をしても、すでに相手が自覚していることだと心に届きにくいのではないでしょうか。
 
自分に自信が持てないと思っている人が、
「もっと自信を持って」と言われても、わかっているけどそれが難しいんだよなと思います。
この相手には相談しにくいなと思うようになってしまいます。
 
おっしゃることは正しいと思うけど、変えるのが難しいので助言されることで余計に苦しくなります。
 
ですので、誰かに助言や指摘をする時には、この人はすでに自覚しているだろうかと考えてみましょう。
 
そのうえで当人が気づかなかった視点で指摘するとハッとさせることができます。
よく観てくれていて、自分でも気づかなかったことを理解してくれていると、信頼につながりやすくなります。
 
 
私は人をサポートする仕事をずっとしています。
独立する前の組織では、集団の中で障害のある方やひきこもりの方をサポートするという時期もありました。
ずいぶん昔のことですが。
 
私は集団が苦手なので集団を扱った仕事では自分の力をうまく発揮できていませんでした。
そのような私を見かねて2人のタイプの異なる先輩から助言をもらったことがあります。
 
一人の先輩からは、「自信がないように見える。もっと自信を持つように」。
 
自分の苦手なことやそれによって自信を持てないことを自覚していたので、おっしゃることは正しいけど、自信は持てそうにありませんでした。
集団をリードするようなカリスマ性も自分にはないしと。
 
しかし、もう一人の先輩からは、「個別にていねいに対応する力があるからそこを伸ばすといいよ」と言われました。
 
後者の先輩の言葉が私の心に刺さりました。
集団は突き詰めれば個人の集合体で一人一人としっかり関わりさえすれば、集団内での信頼は得られるのではないかと気づいたのです。
 
相手が気づいていない視点から助言する際にリソース(強み)は何かを考えると良いと思います。
強みを活かす方向で指摘すること。
 
私の場合は、個別での対応力。
(ちなみにそれ以降は個別の相談業務がメインになります)
 
 
現在、心理相談の仕事をしていても助言する際には、相談者自身がすでにわかっていることなのかどうかを考えるようにしています。
 
わかっていることを指摘すると、相談者から「結局そうすればいいんですけどね」とモヤモヤを残しながら寂しそうに言われることがあります。
 
でも、気づかない視点から助言すると、相談者の表情がパッと変わり、心に刺さった様子になるのです。
 
 
 
誰かに助言をする立場、相談を持ち掛けられた時には、相手が自覚しているかどうか、リソース(強み)は何かを考えて、新たな視点で助言してみてください。
 
 
今回は、自覚していることを指摘しても人の心には刺さらない、という話でした。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
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小林いさむ|公認心理師

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