問題をシステムで捉える家族療法の考え方
今回は家族療法のシステムの考え方について。
私たちは何かの組織などに属していますと、そのシステムの一部になっています。
何か問題が発生している時に個人に矛先を向けるのではなく、システムに問題があるという考え方があります。
家族を対象とした心理療法、家族療法でもそのようにシステムの問題として捉えます。
その家族療法におけるシステムの考え方を紹介します。
所属している組織やチームなどに当てはめて考えても良いかもしれません。
家族療法では、家族全体を一つのシステムとして考えます。
家族を単にそれぞれの家族成員の集まりとは捉えません。
相互に作用し合って、数の総和以上の機能を持つと考えるのです。
まるで家族全体を一つの生き物であるかのように。
家族療法においては、家族内で問題があるとされる人をIPと呼びます。
IP (Identified Patient)とは「患者と見なされる人」という意味。
家族システムの中でたまたま問題や症状を抱えた人です。
例を示します。
(わかりやすくしているので実際はもっとわかりづらいかも)
子どもがひきこもりの状態にあるとします。
母親は完璧主義の持ち主。
子どもはその母親のもとで育ち、自分は何もできなくてダメだと自信が低下しています。
父親は家庭にあまり目を向けたがらず、子どものひきこもりを妻のせいにしている、そういう人。
母親は自分がもっと完璧に頑張らなければいけないと思い、それが子どもに伝わってしまっています。
それによって、子どもはますます自分はダメだと思う。
そのような悪循環ができているという例。
この場合のIPは子ども。
ただし、問題は子どもにあるのではなく、家族全体のシステムにありそうですね。
○父親が母親を責める
↓
○母親がさらに完璧に頑張ろうとする
↓
○子どもは自信が低下し、ひきこもる
↓
○父親が母親を責める
このような円を描く悪循環になっています。
ここで必要な考え方は、
直線的に子どもが問題を起こしているから子どもを何とかしよう、ではありません。
円のようにシステムを捉えてその悪循環を変えることです。
母親が頑張ろうとしない、父親が母親を責めない、などのポイントを変えることで改善する可能性があります。
家族療法ではこのような考え方をします。
この考え方は、私たちが所属している組織、社会をシステムとして捉える時にも当てはまります。
家族療法の話でしたが、どこか参考になれば幸いです。
今回は、問題をシステムで捉える家族療法の考え方を紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師