受容力を高めるためにはどうすればいい?
今回は、受容力を高めるためにはどうすればいいのか?という話をしてみます。
受容力というのは、相手のことを受け入れる力のことで、否定せずに話を聞いてあげる傾聴のときなどに必要になります。
カウンセリングなどの相談の仕事をしていると、いろんな相談者さんがいて、様々な体験や価値観が語られます。
カウンセラー側の価値観とは異なるため、圧倒されたり否定したくなったりすることもあるわけです。
たとえば、犯罪の履歴、子どもに虐待をしている、死にたいという気持ち、などが語られることもあります。
このような職業ではなくても、日常的にも受け入れがたい話が語られてあなたが聞き役になることがあると思います。
たとえば、友人から不倫の話を打ち明けられるなど。
あなたは眉をひそめるかもしれませんが、友人が悩んでいるならそこで否定してしまうと、それ以上は話せなくなります。
現実は複雑怪奇です。
想像を超える語りに遭遇することがあります。
その時には受容力が必要で、その受容力を高める方法について、考えたことを今回はお話します。
受容力を高めるためには。
心理臨床の世界では、「教育分析」というのがあります。
カウンセラーや対人援助を職業としている人が、訓練の一環として、ベテランの臨床家からカウンセリングや精神分析を受けて自分をふり返ることを指します。
自分のこれまでの人生や親との関係、対人場面や臨床場面での自分の態度をふり返り、自分の臨床活動に深みが出るわけです。
とはいえ、専門家を目指しているのでもなければ、このような機会はほぼないですよね。
受容力を高めるためには、世の中には自分とは異なる様々な人がいることを知れると良いのです。
自分自身が同じような悩みや経験をしているのなら相手の考えを理解しやすいです。
しかしながら、そのような経験をするかどうかは偶然性によります。
なるべく多くの様々な人と会って関わることで自分の幅が広がるかもしれません。
しかし、人生の時間は限られているので出会う人の数にも限りがあります。
そこで私のおすすめは、小説(映画でもいいですよ)です。
小説にはいろんな登場人物が様々な背景を抱えて描かれます。
自分が経験したことのない、出来事、人生、感情について、小説を読むことで味わうことができます。
小説の登場人物を通して、代理体験ができるのです。
登場人物が自分の代わりに様々なことを体験してくれるので、自分の幅を広げることができます。
ただし、そうやっていろんな価値観を受け入れようとしても、それでもなお、受け入れられないものはあります。
最終的には、自分に何が受け入れられて何が受け入れられないかを自分に問うてみることです。
・何が善で何が悪と思っているか?
・何が好きで何が嫌いか?
・何に怒り、悲しみ、喜びを感じるか?
自問自答して自分の考え方自体は変えずに受け入れます。
そして、覚えておくことです。
相手の語りの中で、「あ、これは、私はまだ受け入れられていないテーマだな」と意識することで、つい相手を否定するのを防ぐことができます。
人の話を否定せずに冷静になれるための受容力の高め方を私なりに話してきました。
参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師