知識マウント欲を抑えるマインドセット
今回は、人に知識でマウントを取らないようにするための考え方についてです。
過去記事『知識マウント欲を抑えよう』へ、このようなコメントをいただきましたので、それにお答えしたいと思います。
コメントいただきましてありがとうございます。
知識マウント欲を抑えることに苦労されているようですね。
そういう欲は誰しも(私にも)あると思いますが、それを抑えるための考え方をお伝えしますね。
まず、ご質問者さんが知識マウントを取ってしまっていることを自覚しているだけ良いですよね。
マウントは、無自覚に行われる場合が多いと思うのです。
知らず知らずにマウントを取っているとなると、恐ろしいですよね。
極端な例ですと、
「今一番ほしいものは何ですか?」
と聞かれて、
「睡眠時間です」
と答えたとします。
本当に睡眠時間が足りなくて困っているのだと思いますが、聞いた側からすると、忙しいアピールとも受け取れます。
「あなたみたいに暇じゃないんだ、自分は忙しい人間だ」
とまるで言われているようで。
無自覚だと、ちょっとした言葉の端々に出てしまいます。
ですので、自覚していると改善の余地があるのです。
知識マウント欲を抑えるための考え方について。
この思考を常々持っておくと良いです。
私がめちゃくちゃ影響を受けている本にデール・カーネギーの『人を動かす』があります。
有名な本なのでご存知の方は多いですよね。
タイトルから人を操作する技術のような印象を受けそうですが、書かれている内容は「良好な人間関係を築くためにはどうすればよいか」です。
良好な人間関係を築いた結果、人の心が動いたり、行動したりするというものです。
1937年に書かれて今なお売れて読み続けられている本なので、普遍的な人間関係の本質が書かれているのだと思います。
いろんなことが書かれていますが、本書の肝だと私が解釈したことをまとめます。
①人は誰でも例外なく「自分は重要な人間だ」と思いたいという欲求を持っている。
自己重要感。
自分は価値のある重要な人間だと思いたいし、人からそう扱われたいという欲求です。
人間なら誰しも持っている根源的な欲求です。
ですから、重要な存在だと実感したい、認められたい、感謝されたい、こういう思いを満たしてあげることが人間関係で大切になります。
②人の興味の対象は何よりも「自分自身」である。
人間関係では相手のことよりも、自分がどう見られているのか、どう扱われるのかが気になります。
ですので、会話では自分のことよりも相手のことや相手に関係する話題を取りあげるべきです。
自分が話すよりも相手の話を聞くことが大事です。
③「返報性の法則」が働き、結果的に相手から好かれる。
人から何かをもらったら同等のものを返したくなるというのが「返報性の法則」。
相手に好意を示せば好意で返ってくるし、敵意を示せば敵意で返ってきます。
相手を「自分は重要な人間だ」と思えるように扱ってあげると、相手もあなたを「重要な人間」と扱ってくれます。
『人を動かす』には、「返報性の法則」については書かれていないので、ここは私の解釈が入ります。
これらの原則から、相手の話を遮って自分が知識マウントを取ると、相手もマウントで返そうとします。
また、相手の話を聞いて自己重要感を与えてあげると、相手もそれをお返ししたくなるのです。
結果的に良い関係を築けます。
この原則に沿った考えを持って人間関係に臨むと良いと思います。
ご質問者さんは、どうしても知識マウントを取ってしまう、ということですよね。
これについては、実際にマウントを取らないでみる体験をすることです。
シンプルで身も蓋もないのですが。
実際にマウントを取らずにお相手の話を聞くことで、結果的に大丈夫だった、うまくいったという体験をしてみることだと思います。
意外と大丈夫だった、むしろその方がうまくいくことがわかると、抵抗なくできるようになります。
私は今、ひきこもりの相談業務をしていますが、その前の部署は障害者就労支援部門でした。
ひきこもりの相談をしていますと、中には障害のある方もいらっしゃいます。
そうしますと、障害者支援の専門機関に協力をお願いすることがよくあります。
「他機関連携」などと呼ばれるものです。
障害者支援機関の方とお話しているときに障害者サポートの専門的な話を聞きます。
私も前の部署での経験や知識があるので、よく知ってはいるのですが、そこでマウントは取りません。
最低限のことは知っている風にしますが、お相手の方のほうが専門家だという姿勢で接します。
「あなたの協力が必要だ」というメッセージを送り、協力を仰ぐのです。
仮に自分の知識をひけらかして、「じゃあ自分でやればいいじゃないですか」って思われても困りますし。
今は、自分はひきこもりの相談機関に所属していて、障害のサポートはその専門機関であるお相手の分野だと考えます。
実際に自分のいる相談機関では十分な機能がないので、専門機関の協力が必要です。
何よりも他機関の協力を得ることが相談者のためになると思って行動します。
自分の欲のために知識マウントなんて取っていられませんので。
いくつか書いてきました。
まとめますと、
・マウントを取ってしまうことを自覚すること。
・相手の自己重要感を満たすというマインドセット。
・実際にマウントを取らずにうまくいく体験をする。
今回は、知識マウント欲を抑える思考、という話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師