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頼みごとを「やってくれるのが当たり前 」扱いされる人の傾向と対処法
頼みごとを人からされて断れなくて引き受けていたら、いつのまにか「やってくれるのが当たり前の人」扱いされてしまうことがあります。
仕事でいろいろ引き受けすぎて、自分が優先的にしなければいけない仕事ができなくなってしまうことも。
このような「やってくれるのが当たり前」扱いをされる人の傾向と対処法について書きます。
1つでもヒントになれば幸いです。
1. 断ることへの不安と回避行動
「頼み事を引き受けるのが当たり前」と扱われるようになる人には、断ることへの不安と断ることを避ける回避行動が顕著に見られます。
頼み事を引き受ける人は、断ることで生じる可能性のある対人摩擦を避けたいと考えることが多いです。
この態度を相手が察知すると、「この人は頼んでも嫌がらない」という認識を強め、結果的にその人に頼る頻度が増すのです。
断ることへの不安の要因と断ることを避ける回避行動について詳しく説明します。
2. 断ることへの不安の要因
断ることが難しいと感じる理由は、以下の心理的要因が関係しています。
① 人間関係の悪化を恐れる
多くの人は、「断ることで相手を怒らせたり、嫌われたりするのではないか」という恐れを抱きます。
これは特に、職場のような日常的に関係を維持する必要がある環境で顕著です。
② 罪悪感
断ることで「相手に迷惑をかけてしまう」「冷たい人だと思われるのではないか」と感じ、罪悪感を覚えます。
この感情は、相手が頼みごとをしてきた背景や期待を考えすぎる場合に強くなります。
③ 自己評価の低さ
「自分が断る権利があるのか」「断ったら自分が悪い人に見えるのではないか」と考える傾向は、自己評価が低い場合に強く現れます。
断ることで自分が非難されるリスクを過大視します。
④ 相手への共感のしすぎ
「相手は困っているに違いない」「自分が引き受けなければ問題が解決しないのではないか」と過剰に共感することで、断る選択肢を自ら狭めてしまいます。
3. 断ることを避ける回避行動
断ることへの不安がある人は、次のような行動で対処しがちです。
① 曖昧な返答をする
「うーん、考えてみます」「時間があったらやります」といった曖昧な返答でその場をやり過ごそうとします。
この態度は相手に期待を持たせ、後でさらに断りづらい状況を作り出します。
② 無理をして引き受ける
断るリスクを回避するために、自分の負担を考えずに引き受けます。
結果的に疲弊したり、仕事の質が下がったりする可能性があります。
③ 断りの理由を過剰に説明する
「こういう事情があって...だから無理です」と必要以上に詳しく説明してしまいがちです。
こうして罪悪感から逃れようとしますが、逆に相手からは過剰に言い訳をしているように受け取られます。
④ 相手を避ける
頼んでくる人や頼まれる場面そのものを避けようとしますが、これでは長期的な解決にはなりません。
逃げ続けることで関係がぎくしゃくする可能性もあります。
4. 克服するためのポイント
「頼み事を引き受けるのが当たり前」扱いされることを克服するポイントです。
① 断ることを肯定的に認識する
断ることは自己主張の一つであり、相手との関係を健全に保つために必要なスキルです。
「相手の要求を受け入れないこと=関係の否定」ではないと認識することが重要です。
② シンプルで断りやすいフレーズを用意する
シンプルに「仕事が溜まっているので今回は無理です」「ちょっと都合がつきません」と短く伝えることで、余計な議論を防ぎます。
過剰に説明しないでシンプルにするのがポイントです。
③ 「No」の練習
低リスクな場面で「No」と言う練習をすることで、断ることに慣れることができます。
例えば、友人や家族にちょっとした頼みごとをされたときに試してみるのも効果的です。
④ 自分の優先順位やルール明確にする
自分の時間やエネルギーを守るために、「何を引き受け、何を断るか」を事前に決めておくことが役立ちます。
いつも引き受けるのではなく、3回に1回は引き受ける、期限が1週間以内のものは引き受けないなどのマイルールを決めておくのも良いです。
「やってくれるのが当たり前」という扱いを避けるためには、断り方と引き受け方に工夫を加え、自分の負担と相手の期待をバランスよく調整することが重要です。
以下、その具体的な方法を説明します。
5. 上手な断り方
① 感謝の気持ちを添える
相手が頼んでくれたことに感謝を伝えると、断ることによる印象を和らげることができます。
例文
「頼ってくれてありがとうございます。でも今回はお力になれそうにありません」
② 曖昧な返事を避ける
「検討します」「様子を見ます」といった曖昧な表現は相手に期待を持たせてしまいます。
断る場合ははっきりと伝えましょう。
③ 理由をシンプルに説明する
先ほども書いたように詳細な説明は不要です。
短く正直な理由を伝えることで、相手も納得しやすくなります。
例文
「自分の担当分が多いので手一杯です」
④ ポジティブな表現を使う
ネガティブな断り方ではなく、ポジティブな言葉を使うことで相手の感情を傷つけずに断ることができます。
例文
「申し訳ありませんが、今は手一杯なのでお手伝いできません。でも他の方法を一緒に考えましょうか?」
⑤ 代替案を提案する
断るだけでなく、別の解決策を提示することで相手に前向きな印象を与えます。
例文
「今はできませんが、来週なら少しお手伝いできるかも」
6. 上手な引き受け方
① 感謝とポジティブな姿勢を見せる
引き受ける際に「ありがとう」や「頼ってくれて嬉しい」という姿勢を見せると、相手の信頼を得つつ無理な依頼を防げます。
例文
「頼ってくれてありがとうございます。できる範囲でお手伝いします」
② 限度を明示する
何度も頼まれることを防ぐために、最初から限度を示します。
例文
「今後は少し負担が大きいので、調整させてもらうかもしれません」
③ できる範囲を明確に伝える
頼み事をすべて引き受けるのではなく、できる範囲をはっきり伝えます。
例文
「〇〇の部分だけなら対応可能です」
「優先順位を明確にしてもらえたら、どの部分を引き受けられるか判断できます」
④ 条件をつける
引き受ける際に条件を提示することで、自分の負担をコントロールします。
例文
「期限を〇日までにしてもらえたらできます」
⑤ ギブ&テイクにする
「お互いに助け合いましょう」というニュアンスを伝えるのです。
相手とのコミュニケーションが発生して尊重し合いやすくなります。
笑顔で明るく言うのがポイントです。
例文
「じゃあ、今度何かで困ったときは助けてくださいね」
⑥ 引き受けたことを目に見える形で表現する
引き受けた内容を明文化する(メモやメールなど)ことで、相手にもその範囲を理解してもらいやすくなります。
曖昧さがなくなることで今後の抑止力になります。
例文
「確認のため、私が引き受ける範囲をメールで送りますね」
7. 効果的なコミュニケーションのポイント
頼みごとをされるときの相手とのコミュニケーションのポイントです。
① 非言語的な要素を活用する
言葉だけでなく、笑顔や適度なアイコンタクトを添えることで、断り方や引き受け方の印象を柔らかくします。
② 自分の価値を伝える
「やるべきことをしっかりこなしている」というメッセージを普段から伝えることで、「この人に頼みすぎるのは負担」と相手に認識させやすくなります。
③ 境界線を作る
「ここまでならできる」「ここからはできない」という境界を、自分の行動や言葉で示すことで、過剰な期待を防ぐことができます。
断ることへの不安は、多くの人が経験する普遍的な課題ですが、少しずつ練習することで解消していくことが可能です。
断る力を身につけることで、より健康的な対人関係を築いていきましょう。
今回は、頼みごとを「やってくれるのが当たり前 」扱いされる人の傾向と対処法についてでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師