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可能性の芽を摘む「ちゃんと」の呪文
私の長所ってなぁに?
これまで、親御さんたちから「子どもから『自分の長所って何?』と聞かれて困った」や、「子どもの長所がわからない」といった相談を多く受けました。
このようなケースでは、子どもに長所がないわけではありません。ただ、日々の中で「できないところ」にばかり目がいき、「良いところ」は「できて当たり前」としてスルーしてしまっていることが多いのです。
不器用な子ども──本当に短所?
例えば、ある親御さんとの対話の一幕です。
「お子さんのことをどう見えていますか?」とお聞きしたところ、「不器用だと思います」との答えが返ってきました。
「その不器用さはどこで感じますか?」とさらに聞くと、
「何でも最後まで作ることなく、途中で投げ出してしまうんです」とのこと。
さらに詳しく話を伺うと、小さい頃から折り紙を最後まで折らずに途中でやめてしまうことがよくあったそうです。そこで、「その時の状況はどんな感じでしたか?」と尋ねると、親御さんはこう話してくださいました。
「ここをこうやって折って、こう揃えて……と折り方を教えていました。」
私が「もし自由に折らせてみたら、素敵な作品ができたかもしれませんね」と言うと、その場にいた親御さんたちは驚きの声をあげました。
「でも、ちゃんと教えてあげないと、うまくできないのでは?」と別の親御さんが話されました。
ここで出てきた「ちゃんと」という言葉。この「ちゃんと」が厄介なのです。
親の「ちゃんと」が子どもに与える影響
多くの親御さんが、「ちゃんと育てなきゃ」「良い子でいさせなきゃ」とプレッシャーを感じています。それは子どもの行動に責任を感じすぎてしまうことや、周囲からどう見られるかを気にしてしまう心理から来ることが多いのです。
この背景には、親自身が「ちゃんとしなさい」「努力しなさい」「人に迷惑をかけるな」などと言われて育った経験が影響していることがあります。私自身も同じように育てられ、自然と「ちゃんとした子どもを育てるべき」と思い込んでいました。
しかし、親が「ちゃんと」を求めるあまり、知らず知らずのうちに子どもの「やりたい」「知りたい」という気持ちを押し込めてしまうことがあります。
子どもの「大好き」を守るために
例えば、折り紙が好きだった子どもが、親からの「もっと丁寧に」「間違えたところをやり直して」と繰り返し言われるうちに、折り紙そのものが嫌いになってしまうことがあります。
こうした経験は、親として「子どものためを思って」やっているつもりでも、子どもの心に負担をかけている可能性があるのです。
私たち大人も、「途中で投げ出したくなるほど口を出されたらどう感じるか?」と、子どもの立場に立って考えてみることが必要です。そして、その行為を「子どものため」と正当化していないか、振り返る機会を持ちましょう。
短所を長所に変える方法
「短所は長所」という言葉があります。
一見短所に見える子どもの行動も、視点を変えると違った一面が見えてきます。
例えば、
「途中で投げ出す」→「新しいことに興味を持つ柔軟さがある」
「不器用」→「一つひとつを丁寧に考えて進めようとしている」
家族でゲーム感覚で「短所を長所に言い換えてみる」ことを試してみてください。きっと、これまで見えていなかった子どもの良いところに気づけるでしょう。
親の「ちゃんと」の呪縛を少し手放し、子どものペースを尊重してみる。
そんな小さな変化が、子どもとの関係をより良いものにしていく第一歩だと思います。