2 やる気
私位の年齢(要はおじさんです)になりますと仕事をする中でどうしたわけか部下なる人たちができる事が多いです。別に自分が部下を欲しいと言って来てもらって部下になるのではありません。いくらか続けて仕事などをしてしまいますと、自動的にある程度それが実績として認められてしまい、組織の仕組みとして経験の浅い人たちをつけられるという事になります。私は部下が欲しいなどと自ら言いませんけれども。
そして、その部下さんたちは確かに経験は浅いのです。なぜなら、会社というのはおかしな事にそういう人たちを採用したがるものなのです。経験がある人を採用するのは、それが汎用スキルであれば別ですが、組織や会社のスキルがローカライズされ過ぎているせいでどうしても難しいのです。そして経験がある人を採用すると賃金が高いのです。(経験無い人の修行の間の賃金x年月のロス、教えるコストを会社はなぜかあまり考慮しません)
そうしますと、先輩にあたる上司は何かを教える必要があります。まあ、見て覚えろ、技術は盗めというそこだけシステム化されていないというか、わざとしていないので、そうなります。それは即ち、会社にとっては損失となる時間ではありますが、そこもあまり考えません。
そこで出てくる言葉は、もちろん「やる気」です。ほとんどの上司はこう言います。「今の若い者はやる気が無い」そして、「やる気を持たせるにはどうしたら?」そして、彼らはどうするでしょう? はい、普通の事として本屋さんへ行きます。そこには「やる気を引き出す方法」「やる気を育てる本」「やる気にさせる」というようなタイトルの本が山ほどあります。上司の身につけるスキルは部下にやる気を持たせる事であり、それこそがマネジメントだと考えて、いえ、勘違いしてしまうおじさんはかなりいます。(そんな事考えている位なら普通に仕事したら、と言いたくなりますけれど)
さて、これもちょっと前の話になりますが、実は私の古い友人もそう言いました。「最近の若い者はやる気が・・・、やっぱりやる気が無いと・・・」私のそれに対する答えは、友人に対してちょっと冷たい良いかになったかもしれませんが、「人のやる気に頼るのは止めた方が良いよ」です。いつの時点でか、私も、そしてその友人も、上司だった人に言われていたと想像します。「あいつはやる気がイマイチなんだよなあ」「あいつ、どうにかやる気出さんかなぁ」のように。仕方ありません。上司は部下が違うやり方をしたり違う考えを持ってやっているだけでそう思う人種なのですから。いくら一所懸命やっていたとしてもそんなものです。上司の仕事が部下のやる気を引き出すという事である以上、必ずそうなのです。(部下としては付き合っちゃいられませんね)
さて、上司と部下の話は終わります。そして、「やる気」へ移りましょう。皆さんは自分自身で何かやると決めてやる時、最初にやる気を出さなければ!と思う事があると思います。学生であれば、嫌いな科目のテスト勉強をする時にやる気は必須です。大声を出して「やるぞ!やってやるぞ!」と気合いを入れます。頭に鉢巻きもします。壁に「必勝」と書いた紙を貼ります。
それが効果を発揮する事は実際にあるでしょう。ですが、何年もしなければならない仕事の為にそれをして、果たして効果は出るでしょうか? 特に考える必要もありませんね。無理です。さよなら。やりたくない事は一生やれません。普通にそうです。ですから仕事で上司に発破をかけられても、自分自身で必勝を掲げても、会社の壁に高い理念や目標を掲げられても同じ事です。無理なのです。やる気は短期間で心から消え去るものだからです。数分で終わりです。ですから、やる気に頼る事は会社の為であれ、自分自身の事であれ、ほぼ無意味と言わざるを得ません。現実をちゃんと見ればそうではありませんか?
やる気を出して、よしやるぞと思ってもその気持ちはすぐに萎えてしまい、またやらない言い訳を私たちは考えるのです。それが人間の性質だと考えられますけれども、それでは何もしないで人生の時間を過ごしてただ死んで行くだけです。何か対策が必要な気がします。さて・・・それについてはまた後で
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