見出し画像

「こんなことぐらいで」と思ったときに考えたいこと

先日、お昼休みに職場近くの公園を散歩していたときのことです。小さな子どもがつまずいて転んでしまい、驚いたのか、ご機嫌が悪かったのか、大泣きしていました。その様子を見ていたお母さんが、「そんなことで泣かないの」と声をかけていました。子育ての現場ではよく目にする光景ですが、その瞬間、私自身を振り返る時間を持てました。

「こんなことぐらいで」と思うことはありませんか?
この「ぐらい」という言葉が出るとき、それは自分自身のものさしではかっているということなんです。でも、その「こんなことぐらい」の「ぐらい」は、人それぞれ違うんですよね。頭ではわかっているつもりでも、つい「普通はそうでしょう」といった考え方に結びついてしまうことがあります。

この「ぐらい」が親子間や家族間、身近な人間関係に影響を与えることは少なくありません。特に親子のやりとりの中では、親が「これくらい大丈夫だろう」と思ったことが、子どもには大きな不安や痛みになることもあります。

自分の「ものさし」を意識することの重要性

私たちが「こんなことぐらいで」と思うとき、相手の立場や感覚ではなく、自分自身の感覚を基準にしています。たとえば、子どもが新しい環境に不安を感じているときや、小さなケガで泣いてしまうとき、「大したことないから大丈夫」と励ますつもりで言ってしまうことがあります。しかし、子どもにとっては「怖かった」「痛かった」という気持ちが本物で、その瞬間にはとても大きな出来事なのです。

さらに、この「ぐらい」は言葉に出さずとも、態度や表情にも現れるようになります。

たとえば、「またこんなことで泣いている」と思いながら接していると、その気持ちは無意識に子どもに伝わります。そして子どもは、「自分の気持ちを分かってもらえない」「話しても無駄だ」と感じ、心を閉ざしてしまうこともあるのです。

子どもへの影響を考える

子どもたちは、親や周囲の大人から受ける言葉や態度を通じて、「自分の感情や行動がどう受け止められているか」を学びます。「そんなことで泣かないの」「そんなことぐらいで」といった言葉が続くと、子どもは「自分の気持ちは大したことではないんだ」「どうせ分かってもらえない」と思い込んでしまうこともあります。そして、心の奥にしまい込んだ不安や寂しさが、のちの人間関係や自己肯定感に影響を与える可能性があります。

日頃から気をつけたいこと

では、どうすればいいのでしょうか?
まずは、自分が「こんなことぐらいで」と感じる瞬間を意識してみることです。その感情に気づいたら、少し立ち止まって、「子どもにとってはどんな気持ちだろう?」と考えてみてください。たとえ大人にとっては些細なことに思えても、子どもにとっては人生の中で初めての経験や大きな出来事かもしれません。

次に、言葉の選び方を工夫してみるのもいいですね。「泣かないで」と否定するのではなく、「転んでびっくりしたね」「痛かったね」と気持ちに寄り添う言葉をかけてあげるだけで、子どもは安心感を得られます。

そして、もしもつい「こんなことぐらいで」と態度に出してしまった場合には、後で「さっきはごめんね。気持ちを分かってあげられなかった」と素直に謝ることも大切です。大人が子どもに対して「間違ったら謝る」という姿勢を見せることで、子ども自身も他者に対して同じように素直になれるようになります。

少しずつ、振り返る時間を持ちましょう

「こんなことぐらいで」と思うこと、それ自体は仕方のない感情かもしれません。でも、その感情に気づき、自分の「ものさし」を振り返る習慣をつけることで、親子のコミュニケーションが変わり、子どもたちの自己肯定感を育む手助けができるのではないでしょうか。

今日から、人の気持ちだけではなく、自分自身の気持ちにも寄り添う一日を目指してみましょう。

いいなと思ったら応援しよう!