家族の中で「安心感」を作る役割としてのお父さん
前回の投稿では、「昭和的父親像」についてお話ししました。
(前回の投稿)
特に、「お父さんの言動が、子どもやお母さんにどのような影響を与えるのか」を考えるきっかけになったかもしれません。
子どもが不登校になったとき、どう接するべきか分からず、「タイミングが悪い発言」や「余計な一言」をしてしまうお父さんが多いのは、愛情があるからこそ。
でもそのアプローチを少しアップデートするだけで、家族全体の雰囲気が変わります。
今日は、具体的に「お父さんができること」と「家族の中での役割の見直し方」についてお話ししていきたいと思います。
1. まずは「お母さん」の話を聴いてみる
家族の中で子どもと最も近い存在は、多くの場合お母さんです。
そのお母さんがどんな気持ちで子どもに接しているのかを知ることが、家族全体をサポートする第一歩になります。
お母さんが日々の悩みや辛さを話したとき、つい「こうすればいいんじゃない?」とアドバイスをしてしまうことがあるかもしれません。でも、まずはアドバイスではなく、話をじっくり聴くことが大切です。
それから、こんなふうに問いかけてみてください。
「どんなことが大変だと感じているの?」
「今日はどんな気持ちだった?」
大切なのは、話を聴きながら否定や指摘をせず、相手の気持ちをそのまま受け止めること。
お母さんに「よくやってるよ」「頑張ってるね」と伝えるだけで、気持ちが軽くなることもあります。
2. 子どもとの「距離感」を意識する
お父さんの多くは、子どもと接する時間が限られています。そのため、話すタイミングや内容が大切になります。
たとえば、不登校のお子さんがリビングに出てきたときや、一緒に食事をしているとき。お父さんとしては「話をするチャンスだ!」と思うかもしれませんが、そのタイミングで重い話題を切り出すのは避けるのがベターです。
代わりに、軽い話題でいいので、まずは会話を楽しむことを意識してみてください。たとえば:
「最近好きな食べ物は何?」
「休みの日、何してるときが楽しい?」
子どもが安心できる雰囲気を作ることが、次のステップへの大きな一歩になります。
3. お父さん自身が学ぶ場を持つ
お父さんも、子どものために何ができるかを悩んでいるものです。ただ、「何をどうすればいいのかわからない」という状態のままでいると、つい余計なことを言ってしまったり、感情的になったりしてしまうこともあります。
そんなときには、お父さん自身が「話を聴いてもらえる場」に参加することがおすすめです。
たとえば、親の会やOmimiかふぇのような場では、同じ悩みを抱えるお父さんたちの話を聴き、自分の気持ちを共有することができます。
実際、Omimiかふぇに参加されたお父さんたちは、最初は緊張しながらも、「ここでは自分の話を真剣に聴いてもらえる」と感じ、少しずつ自分を見つめる時間を持てるようになっています。そして、お父さん自身が成長していく姿を見ていると、本当に嬉しく感じます。
4. 子どもに安心感を与える言葉を心がける
「父親らしい威厳」や「正しい指導」は必要ありません。それよりも、子どもにとって「味方でいてくれる存在」としての安心感を与えることが大切です。
何か声をかけるときは、こんな言葉を意識してみてください。
「大丈夫だよ」
「いつでも相談していいからね」
「一緒に考えていこう」
このような言葉が、子どもにとって「一人じゃない」と感じさせる大きな支えになります。
お父さんたちへのエール
Omimiかふぇでの経験を通じて感じるのは、どのお父さんも「子どものために何かしたい」という気持ちを持っていることです。その気持ちさえあれば、必ず少しずつ変わっていくことができます。
完璧を目指す必要はありません。焦らず、家族との対話や関わり方を見直してみてください。そして、お父さん自身も自分をいたわる時間を持ちながら、ゆっくりと歩んでいきましょう。
あなたのおかげで、家族は少しずつ前に進めます。