【詩】白紙
ひねもすコントローラーを手に
画面に釘付け
食事はナゲットを放り込む
仮眠のつもりで目をつむった
そこからの冬
風を感じたくなって
誰かの温もりが残されている場所へ
(すれ違う人はみな
僕よりも濃い色で
呼吸をしている気がしてならない)
すじ雲が消えそうになるのを
目で追い
変化の兆しと捉えています
返信をしなかった人へ
怒りを通り越して憐憫に変わってるだろうか
都合のよい解釈をして
流れた関係を修復することは
今さら無理だと理解してます
時間はまわる
僕は置き去り
何色も持たないのは
無色透明
無職透明
とカラスの鳴く声が
そんなふうに聞こえてくる
公園のベンチに座っていると
身体までもが透き通る気がする
散歩中のコーギーが尻尾を振りながら
僕の膝の上に跳び乗ろうとする
つぶらな瞳は何を伝えたいのか
力強い肉球に
僕の過去の形から現在の形を類推できる
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イラストお借りいたしました
ありがとうございました
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(ちょっとだけ解説)
若い頃の話です。私は派遣会社を通して働いてい
た時期があります。勤務する会社から契約満了を告
げられ、次の勤務先が決まるまで日にちが空いてし
まったことがありました。職種にこだわらなければ
良かったのですが、譲れない部分もあり、必然的に
無職の期間がありました。当然、お金はなくなりま
す。時間だけ持て余すようになります。就職活動も
せず自堕落に陥りました。私は、ゲームに没頭する
ことはなかったのですが、本を読んで過ごす日が続
きました。古本屋で当時、100円くらいの値段(高い
値のつくものは買えなかった)で売っていました小
説や詩集を購入し、公園のベンチで過ごす。夏は酷
暑を避けるように図書館へ行って本を読む。お金を
なるべく使わず呼吸してました。今になって振り返
ってみても、それはみじめな日々でした。そんな経
験をもとに生まれた詩です。
考え方はそれぞれあります。マイナスな時間の過
ごし方をしていたことは事実です。現在は、派遣と
いう形ではなく、直接雇用で働かせていただいてま
すが、嫌なことがあった日(カスハラなど)困難な
場面に直面したとき、仕事を辞めたいと頭に浮かん
だとき、マイナスな生活をしていた時期のことを思
い出し、あそこには戻りたくない、貧乏は嫌だと言
い聞かせながら毎日を乗り切るひとつの材料として
います。自分なりの人生を調理していくにも、生活
が整っていなければ味が出ないような気もします。
そんなふうに考えれば、自堕落な生活を送っていた
時期も反面教師としての役割を担っているのでしょ
うか。ポジティブに捉えますと、生きるうえで無駄
な経験はないのかもしれません。
皆さまは、嫌なことがあった日、どんなふうにし
て乗り越えているのでしょうか。
お読みくださいましてありがとうございました。
また来月、訪ねてきてくだされば嬉しいです。