伊豆天城山でハイキング-07
乗り換えではたまに利用する小田原駅。こうやってじっくりと構内を歩くのは初めてかもしれない。
大きな駅には複数の出口が存在する。
「どこの出口で待っていればいいの?」
「区役所がある出口」
電車の中でそんなやりとりをしたのを思い出して案内板を見てみると、ラスカ小田原とは逆方面であることがわかった。
ポリンっ
ちょうどその時、LINEが鳴った。
「もうすぐ着きます」
って予定よりも10分以上早いじゃん。これから薬局行きたいのに。
「いいよ。ゆっくり来てください」
こういう時、ささののんびりに救われる。
10時になると心地よい音楽と共にステーションビルの扉が開いた。ゆっくりと言われても人を待たせていると思えばそうもいかない。1つ下の階に小走りで向かうと薬局はすぐに見つかった。
「僕、トイレ行ってくる」
お店の傍に標識を見つけたようでたぁは一人そちらへと向かう。
アイプチコーナーどこかな?
初めて利用する薬局ではどこに何があるのかわからない。しばらくウロチョロしていると女子ウケしそうなキラキラ化粧品の売り場の端に見つけた。ちょっとお値段が張る、肌に優しいゴムラテックスフリーのものを選び、会計を済ませているとたぁが戻ってきた。
時間ばっちりじゃん。
必須アイテムゲットして反対側の出口に向かって再び小走り。
おっ。
外に出ると背景に色づく木々を従えた凛々しい北条早雲さんの銅像が目に入り、その存在感に自然と足が止まる。
はっ、見とれている場合じゃないよ。ささの車どれだろう。
早雲さんを囲むロータリーへと目を移すと車が数台止まっている場所がある。
このうちのどれかかな・・・・・・・あッ!!
向かいの道かられんが歩いてやってきた。
「おはよー」
「おはよー。トイレ行ってくるね。車はあそこだよ」
彼が指差す場所でささは車から降りて伸びをしていた。彼らの車へと向かうと目に入れたら痛いけど、愛くるしいららが笑顔いっぱいで迎えてくれた。
「おはよー」
「おはよー」
会えた喜びをしっかりとハグで確かめ合う。
のんびりで平和を愛する彼らの難点は行動が遅いこと。まぁ、子供がいる家族だとどうしてもそうなってしまうのかもしれないけど、一緒に行動すると待つことが増える。たまに意味不明なほど時間がかかる時もあるんだけど、子供がいない私らに彼らのすべてを理解できることはない。
れんがトイレから返ってくると次はささが向かった。
どうして一緒に行かなかったの。それか私たちと合流してからすぐに向かえばよかったじゃん。
若い頃ならすぐにツッコミを入れていたけど、今は“余計なことは口にしない”を学んでいる。
彼らの車は7人乗りのファミリーカー。
車内広々ゆとりもって乗れるはずなんだけど、なんせこの車には積まれている荷物が多い。彼らはいつでも巣ごもりができそうなほど家には大量の保存食品が置いてあり、なぜだか車にもそのたぐいのものが多い。そのため荷室スペースはいつもいっぱい。旅行に必要な荷物は三列目シートに積まれている。
「私が後ろに座るからのんちゃんたちは二列目に座っていいよ」
ららは荷物を避けて端に座ろうとする。多分、座席スペースの確保を気にしているんだろうけど、そうなると一列目に座るささとれんと話す時は前を向いて、ららと話す時は後ろを向かないといけないから忙しなくなっちゃうよね。
「ねぇ、一緒に座ろうよ。そのほうが話しやすいじゃん」
「そっか。じゃぁ、そうしよう」
ららはいつものニコニコ笑顔で快く意見を受け入れてくれたので、すべての荷物を3列目シートに追いやり、たぁと三人で並んで座る。
うん、多少狭くてもこのほうがいい。
その頃にはささもトイレから戻ってきたので、出発進行っ~♪
以前、たぁは私のトイレの頻度にびっくりしていたけど、ささ家族と行動を共にするようになってから、彼らもトレイに多く立ち寄る事実を知り「これが日本人」と理解したようだ。
雲一つない青空の下、車は順調に走っていく。
「ねえ、のんちゃん足元に置いてある紙袋取って」
「はいよ」
「それのんちゃんへのお誕生日プレゼント」
えっ、覚えてくれていたのね。
えー、本日、11月3日文化の日はわたくし、のんの誕生日であります。
私の誕生日近くで彼らと会うことはめったになくプレゼントをもらうこともなかったから、期待なんてしないでいただけに嬉しいじゃない。それもフロアマットに置いてあるそれを自分で取らせるなんて新しい受け渡し方法だわ。
ちなみに愛するたぁは朝、起きた時から「ハッピーバースデー」と言っては何度もハグをしてくれた。素敵な旦那様💛。
さらに互いの誕生日は相手にも特典があるという我が家特有のルールがある。
サプライズプレゼントって嬉しいんだけど、もらって困るものが多くない?
ってことでお互いの誕生日には互いにボーナスお小遣いがもらえるシステムを導入している。だからこそ相手のお誕生日はさらに嬉しくてお祝いしたくなるという一石数鳥っ!
優しきささ家族からのプレゼントは基礎化粧品。
今年の9月、肌荒れが気になってささに相談したことを覚えていてくれた。私は敏感肌なのでそこにも気を使ったメーカーを選んでくれた。
壮絶人生、いろいろあったけど人徳に恵まれた私ってやっぱり幸せ者っ❣
ありがとう、みんな☺
主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう
これまでのお話
無空真実の電子書籍です。よろしくお願いします。