伊豆天城山でハイキング-47
お酒も進んで、気持ちが良い。
たくさんのおいしい恵まれてお腹も満足。それ以上かも・・・・・・ちょっと重たい。
今回の旅行は本当によく食べている。
今日は朝からビーフンをいただいて、昼食では大盛り海鮮丼。
見るからにおいしそうで、期待を裏切らない美味に食欲はあるのに、いつもより多めにばかり与えられているお腹は再び不服を申し立てている。
そして昨日同様、おかずがなくなったころに米がやってきた。
今日は白米ではなくてパエリア。
満腹なお腹をしてもおいしそうな海鮮たちに惹かれて手を付ける私。
「どうして今日もご飯が最後なの?」
昨夜と同じ言葉を放ったたぁは今日も手を付けなかった。
もったいないお化けが宿っていない彼は(チョコレート以外は)自らの腹と話し合って食べる分量を決められる。羨ましい限りだ。
「体が大きいから食べられると思ったんですが小食なんですね」
食事を運んできてくれたおばさんスタッフが笑顔とともにそう言った。
うーん、小食なのかな。好きなものに対する食い意地がすごいけど。
「お国はどちらなんですか?」
「ニュージーランドです」
「まぁっ!みんなが憧れる国ですね」
社交辞令か旅行マーケティングの影響か、そう褒めていただくことは多々ある。でも、現実は全く違うことを私たちは知っている。特にサービスは最悪だし。
「日本のほうがいいですよ」
「そんなことないですよ」
日本人としての謙虚さか、それとも本当にそう思っておられるのか。
その反応を見たたぁは首を大きく横に振る。
彼は母国よりも日本を愛している。時間が経てばたつほど、その思いは強くなっている。
「前酒のおかわりをサービスしてくれる国なんてこの国だけです」
ニュージーランドのインドカレー屋さんはサービスの水のおかわりをお願いしたら持ってきてくれなかった。それも三回伝えたのに、すべて頷かれただけでスルーされた。
若き頃はマスメディアや不要な教育から与えられた誤った知識と、若気の至りでこの国の良さがわからなかったけど、海外によく行くようになり他の国の状況を知り、様々な状況から正しいと思える知識と認識を得られるようになった今、私は日本という国が大好きで、(いろいろあるけど)日本に住めること、日本人であることに誇りを持っている。
だからたぁがニュージーランドよりも日本が好きでこの国に暮らしていたい気持ちは非常に嬉しい反面、悲しくもある。それは彼の中で私と逆の現象が起きているという証拠でもあるから。
気づけば周りから声がしない。向かい斜めのカップルは姿を消して、残っているのは私たちだけだ。
「すみません」
「どうぞごゆっくり」
そう言ってくれた。
最後に運ばれてきたデザート伊豆の音プリン。
じゃぁ、お言葉に甘えてゆっくり・・・・・・・なーんでできるほど肝は座っていない。
甘さ控えめのプリプリ触感を早々に食べ終えて席を立つと、先ほどのおばさんスタッフが出口までお見送りしてくれた。
「料理長さんにサービスしていただいた前酒のお礼をお伝えください」
部屋に戻るとカーテン開けっ放しの窓から夜の海に反射した月の光が優しくも強く輝いているのが見える。
キレイ。
窓に近づき見下ろせば、私たちの宿の駐車場にも車がたくさん止まっていた。
動画を見ながらしばらくのんびりした後、たぁは疲れたから寝るという。
今は9時半。
「私はお風呂に行くけど」
「僕はいい。本当に温泉好きなんだけね」
「うん、まぁ好きだね」
そう言われても仕方がない。今日、四度目である。そしてもちろん明日の朝も浸かるであろう。
彼はベッドにバタンQ。
「鍵は持っていったほうがいい?」
「うーん、うん」
そうだよな。
寝ているかわいい熊を発見したら襲うつもりで来た者が逆に襲われると思って発狂するかもしれない。
いやっ、そうじゃなくて。
彼がゆっくりと眠りに就けるよう、面倒臭がらず鍵を閉めてから風呂場に向かう。
主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう
これまでのお話
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