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朗読フリーの作品

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こちらにある作品は基本朗読フリーとなっています。 ※朗読する際はこちらのアカウントにDMでご連絡ください。(https://twitter.com/jamasin6) 語尾の変更…
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#はこわけあみ

祖母が見た狐火(朗読:はこわけあみ様)

これは祖母が幼少のころに経験した話です。
もう80年くらい前、年代でいえば戦中~終戦間際の頃ですから、町の中に街灯などは今ほどありません。
ましてや山の中など日が沈んでしまえば一面真っ暗。ひとたび迷えば慣れた人でも命の危険があるほどで、動き回ることはせず、朝日が昇るまで木のむろなどを探して隠れているしかありません。
祖母曰く、こういうときに助けてくれるのが『狐火』だそうです。
最初は遠くふわっと小

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虫の知らせ(朗読:はこわけあみ様)

珍しく今回は私がした実話を書かせていただこうと思います。怖い話ではありませんのでご興味のある方だけご覧いただければと思います。

小さなころからオカルトやホラーが好きなわりに、私自身は幽霊と遭遇したことはありませんでした。
では全く不思議な体験がないのかと言えば、”全く”ではないのです。
それは怖い話ではなく、どちらかと言えば不思議な体験で、よくいう虫の知らせというやつです。
経験としては三回、す

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火矢の祭り(朗読:はこわけあみ様)

これは私が祖父から聞いた話だ。
私の母方の田舎に『飛矢の祭り』という村祭りがある。飛ぶ矢と書く。
土地神様に奉納した矢を神主が的に向けて放ち、その矢が的の真ん中を射抜くと、その年は山の恵みを十分に受けることができるというものだった。
矢は三本用意され、的は大きく、距離は近い。日ごろから鍛錬している神主が三本とも外すとは考えられない。
占いとしては形式的なものだというしかないだろう。
興味深いことに

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畜生道  (朗読 はこわけあみ様)

私の彼が自殺をした。
原因は仕事でのストレスだった。
彼の仕事は一言でいえば捨てられた動物たちの処分だった。
どれだけ救ってあげたい命であっても、無限に助けることはできない。
彼の悩みを聞くことはできても、絶望をどうにもできなかった無力感に私は苛まれていた。

そうして49日が終わるころ、私は夢を見るようになった。
それは彼が動物たちに襲われている夢だった。
ただただ広く、周りを見渡しても闇がある

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