邪魔神(怪談投稿者)※無断転載禁止しています。朗読フリーの作品もあります。

投稿した怪談などを紹介しています。 無断転用、無断朗読は禁止とさせて頂きますので、ご希望の方はご一報ください。 特定の方に差し上げたもの以外であれば、基本的には朗読は歓迎しています。 Twitter:@jama_shin44656

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おまじない禁止 朗読:くだんちゃん(噂ノのろいちゃんねる)

※噂ノのろいちゃんねる 様 にて公開しています。  ほかに多数の怪談がございますので宜しければご覧ください。 おまじない禁止。 俺が通っていた小学校にはそんな変な決まりごとがあった。しかもこれを結構みんなガチで守っていた。正確にある教室の前でおまじないをしてはいけないなんだけど、そういう決まりにすると敢えてトライする奴が出るから全体で禁止にしているらしい。 もっとも俺が知っているみたいに噂で流れちゃっているからあまり意味はなかったのかもしれないけど。 3階建ての校舎の3階

    • 夜中のドライブ(短編)

      だから、夜中のドライブなんて行くもんじゃないって言っただろ? いや、そりゃ気持ちは爽快になるさ。 でもよ、調子に乗って、遠出しすぎだ。 帰る頃にはいい時間。 明日も仕事があるってのにうっかりすっかりだ。 ま、嫌な客のこともいけ好かない上司のことも、ちょっとの間だけ忘れられたがね。 だからって地図も見ないで思い気ままに走らせるのも良くない。 できれば大通り、人が多く通るところのほうがまだ安全ってもんだ。 ほら、後部座席を見てごらんよ。 え、俺と二人で出たはずだ

      • その祠を壊してはならない(短編)

        「その祠を壊してはならない」 祖父のセリフに俺は思わず、内心で笑い声をあげた。 随分とありきたりなことを言う。 言われなくたって、そんな古めかしい祠に興味なんてない。 俺は毎年、田舎に行くがそもそも近づいたことだって一度もない。 そうして俺は成人し、いつの間にか言われなくなった。 ある日、仏間の前を通りかかると中から声が聞こえた。 「その祠を壊してはならない。絶対に」 なんかセリフがちょっと増えた気がする。 話しかけているのは小学生になったばかりの俺の甥っ子にだ

        • 「心霊スポットへのドライブ」(短編)

          ある夏休み、俺はサークルの友人たちの男女で心霊スポットに行くことになり、話の流れで目的地は俺が決めることになった。 俺はとあるトンネルを選び。 友人たちとは2台に分かれて出発した。 そのとき、俺はイタズラで後からついてくる友人たちには別のトンネルを教えることにしていた。 出発前に気が付かれないように友人の車の後ろに手形のシールを貼った。 これで後から「実はすでに通っていた」と教えてビビらそうって魂胆だ。 夜中のドライブは順調で他に車も少なく、天気の良かったので控えめに言っ

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        記事

          「青い数珠を持った老女」

          これはとある住宅街での話。 私が長期間の水道工事の警備員( 正しくは交通誘導警備員というが、ややこしいので、警備員とする )としてを配置されたときのことである。 その住宅街は小さな山を切り開いて作られており、そのせいで緩急様々な坂で囲まれている。 こういう住宅街ではわりとよく、その一角に小さな墓地があったりする。 おそらく、昔からそこに住んでいた人の墓地。 夜深くともあれば、不気味に映るかもしれない光景も、日中明るいところで見る分にはなんということはない。 ある同僚は「落ち着

          霊園の地下駐車場(朗読:絢河岸 苺様)

          これは知り合いの警備員Yさんから聞いた話。 K県のとある場所に小高い山と山に挟まれた霊園がある。 ふもとの部分に休憩場やメモリアルホール、事務局、駐車場などがあり、お墓は斜面に沿って段々になっている。 中規模だがそれなりに大きな霊園だ。 春彼岸のある日、Yさんは駐車場の案内整理をするためにその霊園に来ていた。 次々に訪れる利用者を駐車場の空いているところに案内したり、外で順番待ちをしてもらったり、まだ仕事に慣れていないYさんにとってはかなり忙しい仕事だった。 それでも午前

          陽光

          その日の夕方、私は疲れ果てた体で帰宅しました。 都合よく体調を崩した同僚のせいで前日の夜勤から続けてそのまま日勤に。とうの彼女は課長の部屋のベットでさぞやスヤスヤと寝ていたことでしょう。 私が眠りについたのと自室のベットに倒れこんだのとでは、どちらが先でしたのか。辛うじて化粧だけは落としたはずでした。 ふと目を覚ますとカーテンの隙間から日の光が漏れていました。 疲れすぎて朝まで寝てしまったのか。 思わず悪態をつきながら私は体を起こしました。 さすがに遅番に代わって

          充分ではない(短編怪談)

          祖母と私はともに霊感らしきものがあった。 あくまでそれは「らしき」ものだった。 例えば道を歩く血まみれの女性の幽霊が見えたりとか、首のない青年が駅のホームで頭を探していたりとか、そういう光景が見えるわけではない。 どことなく、あそこに行ってはいけない気がするとか、今日は大事な電話(だいたいの場合は悪い知らせ)がくるから外出しない方がいいとか、そういうことが分かるだけだ。 じゃあどうすればいいのかとか、除霊はどうするんだとか、そういうことは一切分からない。 祖母も私も

          短編怪談「彼が悲しそうな理由」

          久しぶりに会った友人は学生の頃とは打って変わって寡黙で雰囲気も暗かった。 一体、クラスのムードメーカーになにがあったのか。私は彼の話を聞くことにした。 彼は悲しそうな顔で話し始めた。 「大学の時に事故に遭ってさ。頭を強く打ったらしくて、一命は取り留めたんだけど。」 そこで一度言葉は途切れた。 「後遺症があるのか?」 心配そうに聞く私に彼は答える。 「そう……なるかな。その事故以来、幽霊がね見えるようになったみたいなんだ。頭は正常、他に目立った変化はないし、だから多分現実なんだ

          メリーさんの〇〇 (朗読:絢河岸 苺様)

          メリーさんの電話。 有名な話ですね。 でも、いまは固定電話がない家も増えてますし、あってもIP電話だとかで、昔と勝手が違ったり。 だから、メリーさんもいなくなるだろうって私は思っていました。 ところがこの間、小学校2年の娘が私に聞くんです。 「メリーさんって誰?」って。 私もいきなりなんだろうと思って、どういうこと?って聞いたらこんな話を聞かせてくれました。 これは娘がクラスメイトから聞かされた話です。 クラスメイトの従妹がある朝の登校すると自分の机の中にある四つ折りのメ

          メリーさんはいま

          ※上記の企画にて空亡茶幻様にご朗読いただいています。ご興味のある方はよろしければ動画と併せてご覧ください。 メリーさんはいま、人間として暮らしているらしい。 俺はY。いま工事現場で警備員をしている。 「メリーさんね。あの子だったら、この前、会ったよ。元気にしてた」 隣にいたオッサンが突然そんなことを言いだした。 なんでそんな話になったのか、たしか飲み屋でどーでもいいことを話しながら店にあるテレビを見てたら、昔の怪談みたいな特集が流れて、口裂け女とか、人面犬なんかと一緒にメ

          雪の降る土地には住まない

          これは友人のBさんから聞いた話だ。 彼女が通った高校にある噂があった。 『雪の降る日に屋上に行ってはいけない。 明日に飛ばされてしまうから。 明日に飛ばされて、昨日に帰ることはもうできない。』 多くの生徒、少なくともクラスメイトはこの噂を知っていたはずだとBさんはいう。 ただ、そもそも屋上に行くための扉の鍵は締まっているし、大雪の日であれば休んでも大目に見てもらえるくらいには緩い学校だった。 そして、Bさんが通っていたときには特に何事も起こっていない・・・ということになっ

          やまがえし

          賞金付き怪談募集企画『集まれ!怪談作家』第5回目発表会※上記の企画にて、1位をいただいた作品となっております。 動画の32:54より当方の作品を朗読をしていただいています。 ご興味のある方は、よろしければ他の方の作品、ともども聞いていただけると幸いです。 その日も私は暑い中での仕事を終えて、へとへとになりながら簡単な晩御飯の用意をしていた。 夏はなかなか去ろうとせず。暦の上で秋が来ても暑い日が続いていた。 ドンブリに冷めた飯を入れ、お茶漬けのもとをかけ、さらに冷水をぶっか

          ある村の記憶(朗読:絢河岸 苺 様)

          私が成人するまで住んでいたのはいわゆる、都会の田舎だった。 生活の一通りは近所で十分に揃い、東京が近いのが便利。 ただそれだけのところだった。 そこを離れて二十余年経つが、遠くに引っ越しわけでもない。 今でもたまに通りがかるが相変わらずあまり開けてはいない。 子どもの頃はそれがさらに顕著で、近所に養鶏場や小さな果物畑がところどころあり、最寄りの駅からは水田が見えた。 小学校低学年のころ、私は今よりも少し活動的で、そして探検好きだった。 もっとも子どものできる探検だから大した

          黒い男(リレー怪談:空亡茶幻様)

          三年前、大崎さんは一種の睡眠障害に悩まされていました。 入眠するところまではいいのですが、途中で覚醒してしまいぼんやりとまどろんでいると足からだんだん身体が動かなくなり金縛りになるのがお決まりのパターンでした。 そして金縛りにあっている最中、彼の寝ているベッドの傍らには男が立っていたのだといいます。 ぼんやりとした真っ黒なシルエットで姿だけでは男性とは判断できないのですが、毎回そのシルエットは大崎さんの耳元に息がかかるほどの距離まで顔を近づけて決まってこう言ってきました。 「

          祖父の傘 (朗読:冥賀小夜日)

          ※怪談募集企画『集まれ!怪談作家』第三回目にて「ゲスト賞」として読んで頂きました。 私の家には一本の傘があります。 祖父の遺品である特注品の和傘。 生前の祖父がそれはそれは大事にしていたものでした。 木造家屋の平屋に住み、和装を好んだ祖父でしたが、なにより好んだのは雨の日の散歩でした。 多くの人には陰鬱になる鈍色(にびいろ)の空も、空気を重たくするそのじめじめとした雰囲気でさえ、祖父は趣き深く感じるようでした。 世界がきれいに見える、それが祖父の口癖でしたが、私を含め家族に