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朗読フリーの作品

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こちらにある作品は基本朗読フリーとなっています。 ※朗読する際はこちらのアカウントにDMでご連絡ください。(https://twitter.com/jamasin6) 語尾の変更…
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2022年10月の記事一覧

祖母が見た狐火(朗読:はこわけあみ様)

これは祖母が幼少のころに経験した話です。
もう80年くらい前、年代でいえば戦中~終戦間際の頃ですから、町の中に街灯などは今ほどありません。
ましてや山の中など日が沈んでしまえば一面真っ暗。ひとたび迷えば慣れた人でも命の危険があるほどで、動き回ることはせず、朝日が昇るまで木のむろなどを探して隠れているしかありません。
祖母曰く、こういうときに助けてくれるのが『狐火』だそうです。
最初は遠くふわっと小

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虫の知らせ(朗読:はこわけあみ様)

珍しく今回は私がした実話を書かせていただこうと思います。怖い話ではありませんのでご興味のある方だけご覧いただければと思います。

小さなころからオカルトやホラーが好きなわりに、私自身は幽霊と遭遇したことはありませんでした。
では全く不思議な体験がないのかと言えば、”全く”ではないのです。
それは怖い話ではなく、どちらかと言えば不思議な体験で、よくいう虫の知らせというやつです。
経験としては三回、す

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コインロッカー(朗読:かすみみたま様)

その日、僕は駅の構内で友人を待っていた。
スマホに視線を落とすと時間は12時25分。
約束まではあと5分。友人から28分着の電車に乗ったとLINEがあった。
友人はいつも、時間どおりにくる。らしいと言えばらしいが、いつも早めにくる自分に少しは合わせてくれてもいいような?と思わないでもない。
ま、自分も友人に合わせる気がないからどっちもどっちか。

『ここを開けてくれ……』

突然、背後から男の声が

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トンネルの夢(朗読:酒処あやかし 絢河岸 苺様)

その夜、私はトンネルの夢を見た。
幼いころを過ごした家の近くにあったトンネル。高架橋の下にある、短いが大きくて広い。電線込みで電車が十分に通れそうなほど縦にも横にも広がっていて、しかし長さは10メートルと少しくらい。
当然、向こう側の景色は見渡せるほどに(といっても梨畑だけだったが)開けていて、昼間でも多少薄暗くはあっても明かりに困るようなことはなかった。

しかし、その夢の中で私は“向こう側”を

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道路標識(朗読:絢河岸 苺様)

これは私が大学生の頃の話です。

その日、私はとある山道を走っていました。
すでに時間は真夜中。自分もそんな時間に走りたくはなかったのですが、大学での実験がうまくいかず、レポートを提出するために遅くまで実験を繰り返していました。
この山道はいわゆる曰くがある道で、地元の人なら出来る限り、夜遅くは通らないようにしている道だったのです。

その道は山道とは言っても、しっかり整備もされていて道幅もありま

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