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原始的なものに惹かれる

キャロットケーキを初めて焼いた。

よそで食べたことがないので正解は分からない。

いくつかのレシピを見比べて、ちょうど良さそうな配分で作ることにした。

前にも「正しい」について触れたけれど、正解なんてどこにもない。明治時代のコックは料理長の作るものが正解だと盲信するしかなかっただろう。そして渡欧した事のないその料理長も実は正解を分かっていなかったのだろう。

正解(本場)を知らない事で、伝言ゲームのように勘違いが伝達していき、独自の文化が生まれ、その土地で独自の正解が育まれていくのが面白い。

現代的レシピはクリームチーズのアイシングがかかっているので、正解に則ってみる事にした。強い。確かに美味しいのだけれどアメリカンな味だ。

何故人参を入れようとしたのだろう?と想像する。レシピ本に書かれているものが当たり前に揃っているわけがない。自ずと工夫の結果だという事に想像力の翼は達する。

まだ深くは調べていないのでWikipedia情報だけれど

ニンジンは、中世の時代から菓子に用いられてきた。この時代は甘味料は希少で高価であり、野菜の中でテンサイに次いで糖分を多く含むニンジンは入手しやすく、デザートを作るのに用いられた[2]。第二次世界大戦中の配給制のせいで、当時のイギリスでキャロットケーキの人気が復活した[3]。

キャロットケーキは1960年代初めのアメリカ合衆国において、レストランやカフェテリア等で初めて商業的に販売された。最初は贈答用であったが、人々が好んだため、キャロットケーキは標準的なデザートとなった。2005年、アメリカのフード・ネットワークは、クリームチーズでアイシングしたキャロットケーキを1970年代の流行食トップ5の第5位とした。
Wikipedia

イギリス伝統菓子は勝手なイメージだけど、一番にスコーンが思い浮かぶように、とても素朴なものだと想像する。中世の時代、クリームチーズアイシングが乗っているわけはないので、脳に響いたアメリカンな味!というのは的を得ていたようだ。

私は焼きっぱなしの素朴な味の方が好きだな。がっかりされそうだけど、生クリームを添えるだけで提供する事に決めた。

どうしても惹かれてしまうのだ。原始的なものに。自分の中に存在する遺伝子が、かつて経験したであろう事柄に。(最先端の遺伝子が優位で、未知のものを感じたい、表現したいという人が進化学的には正解なのだろうけれど)

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