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お会いできなくて寂しいわ

昨日の夕方、嬉しい電話をもらった。この自粛生活で、月に何度かお会いしていた定期的な会合は中止に。PCもスマホもないその友人は、会合がオンラインで再開されてもお休みのまま。

「あなたにお会いできなくて寂しいわ」

照れる。高齢の友人のストレートな愛の告白。挨拶代わりのひと言かもしれないのに照れてしまう。
こんなひと言が似合う女性になりたいな、と思う。

私はそんなに近しい関係ではない。
スマホを勧めたり、会合に出られるようPCを持ってお宅にお邪魔して、オンラインの環境を整えてあげるとかは、なんか違う。

ただ、ずっと会えないと寂しいな、と思うだけ。
このままいつまでお顔を見られないのかなぁ、と思いを巡らせるだけ。

嬉しかったから、電話のリレーをしようと思い立った。
今度は別の友人に私からお電話して、お会いできなくて寂しいって伝えよう。

朝になり、
9時半過ぎ、
10時過ぎ、
二回かけたけれど出ない。
朝の散歩かな?図書館かな?でももうけっこう暑い。夜も下がらなかった気温がどんどん上がり、予報は35度。

その友人もご高齢の一人暮らし。
不安がじわじわとふくらんで、妄想はどこまでも悪い方へ。

11時過ぎ、
「はい、」と大きめの声。すべての妄想がはじけて消える。
開店に合わせてスーパーに行き、帰ったばかりとのこと。

なんでもない会話をして、なんにも起きない近況を伝え合って、電話を切った。頬がゆるんで、なんだかゆったりした気持ちになっている。

「またお顔を見られる日が来るでしょうから!」

二回出なかっただけで心配するなんて、失礼な話だ。本人に言おうものなら笑い飛ばされるだろう。
それに、私はそんなに近しい関係ではないのだもの。
たとえ丸一日電話が通じなくても、共通の知り合いに問い合わせたり、近くまで様子を見に行ったりとかは、なんか違う。

ただ、大丈夫かな、と思うだけ。
何か困ってないか心配だな、と思いを巡らせるだけ。

それだけの、遠めの関係だけど、大切。必要。なくてはならない。
何十年かのちの私にも遠めの関係がいくつかあるかしら、とちょっぴり不安になるけれど、それはまぁ、そのときの話!