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【めくるめく悪夢の迷宮へ】映画『4人の食卓』感想

1人の男性がある事件をキッカケに様々な怪奇現象に襲われる姿を描いたホラーミステリー映画『4人の食卓』。監督は『犯人は生首に訊け』のイ・スヨン。『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンが出演している。

JAIHOで鑑賞したけど面白かった。
まず雰囲気が抜群に良い。全編に渡って不穏で不気味。次々起こる謎めいた展開にも引き込まれた。
劇中の螺旋模様じゃないけど、鑑賞しながら自分の脳内も「???」でぐるぐる回っていたよ。

黒沢清監督の作品が好きな人ならハマると思う。
雰囲気や内容も少なからず影響受けてるんじゃないだろうか。恐怖演出とかは、Jホラーの文脈も受け継いでるとも思うんだけどどうなんだろう。

2003年製作/126分/韓国

物語は結婚を目前に控えたジョンウォンが電車に乗っている場面から始まる。

日々の疲れからか電車内で眠りこけるジョンウォン。途中、幼い姉妹を連れた母親が乗車してくる姿を見かけるがまた眠りについてしまう。

終点のアナウンスで目を覚ますジョンウォン。
周囲を見ると先ほど乗ってきた姉妹が眠っているのか目を閉じたまま座っている。しかし母親らしき人物は見当たらない。

その異様な光景に戸惑うジョンウォンだが、締まりそうな扉から出ることに気を取られ、電車を見送ることしかできなかった。そして翌日、姉妹が電車内で死んでいたことを知る。
その事件をキッカケにジョンウォンの周囲で不可思議なことが起きるようになり…というあらすじ。

劇中で色んな事件が起きるけどどれもイヤ~な出来事ばかり。しかも描写に容赦がない。平山夢明の実録怪談を読んだときのような憂鬱さ。
冒頭の出来事は韓国で実際に起きた事件なのだろうか。日本でも聞いたような都市伝説的エピソードが盛り込まれてるのも背筋をゾクっとさせる。

ちょうどこの映画を観たときは台風が接近してる日で、真っ暗な部屋の中、雨が雨戸に叩きつけられるる音を聞きながら観ていた。そのせいかより怖さもより倍増。映画を観る環境ってつくづく大事だと思う。

本作はFilmarksでの点数が芳しくないが、その理由の一つとして話が分かりづらいことが挙げられると思う。様々はエピソードが交錯する構成なので観た後に頭を整理しないとなかなか混乱する。

また内容も様々な解釈ができるような作りになっているので、もし今公開されていたらSNSは考察系の感想で賑わってそう。

※これより以降、物語の具体的な内容に触れています。未見の方はご注意下さい。

劇中で何度か出てくる「事実は受け入れられないと真実にならない」という台詞。
この言葉がラストにも繋がってくるのだが、これは「人は自分の信じたいことを信じる」という意味にも捉えられる。

この映画が分かりづらい点として、ジョンウォンの過去にしろ、ヨンの事件にしろ明確な事実が提示されてない部分にあると思う(もちろんこれは敢えての演出だろうけど)。

物語終盤、ジョンウォンは自分の出自について父親を問い詰めるが、父は最後までジョンウォンの問い掛けに答えることなく部屋を出ていく(あの 態度か するとその通りなんだろうけど)

ヨンの事件に関しては「どちらが子供を落とした」ということが争点になるがこちらも答えがハッキリしないまま終わる。
まさに「事実は受け入れられないと真実にならない」という言葉をラストに観客にも投げかけてくるのだ。

※イ・スヨン監督の新作。未見だがタイトルからして興味を惹かれる…

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