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【これはアナタに委ねられる映画】『関心領域』感想

アウシュビッツ強制収容所の隣で日常生活を送る一家の日常を描いた『関心領域』。5月24日から劇場公開している映画だ。

監督は『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』のジョナサン・グレイザー
イギリスの作家マーティン・エイミスの小説を原案に手がけた作品で、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリを受賞、第96回アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞している。

この映画、予告編がとても秀逸。
公開前から映画館で予告編を何度も目にしていたのだが、この作品のインパクトと余韻は凄かった。

本作はミニシアター作品としては大ヒットを記録しているが、個人的には題材のインパクトはもちろん、この予告編やビジュアルが多くの人を惹きつけた要因の一つだとも思う。

『関心領域』という邦題も尖っていて良いと思っていたら、この邦題はアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するため実際に使われていた言葉とのこと。

※ちなみに予告編は↓。
YouTubeでもやたら予告編を見かけたな。未見の方は良かったらチェックしてみては。

2023年製作/105分/G/アメリカ・イギリス・ポーランド合作

そんな本作だが、映画というよりアート作品を観ているよう。

人は目の前で起きてる惨事についてどこまで無関心でいられるのか
もしくは無関心を装えるのか
この映画を観た人は少なからずそんなことを考えるに違いない。

このテーマは、それこそパレスチナとガザの問題にも当てはまるだろうし、もっと身近に自分たち日常生活にも置き換えることができる。
人はどんな大惨事が起きていても自分に影響がない限りはどこまでも他人事でいられる残酷な生き物だ。

観る人に問題意識を持たせる、それだけで意義のある作品なのかもしれない。

この映画、「面白い」という感想を見かける一方「つまらない」という感想も見かけるなど、両極端な感想が目立つという印象。観る人の感性や知識に委ねられるタイプの映画だと思う

あらすじに触れると、アウシュビッツ収容所の隣で日常を過ごす家族たち。一見すると何の変哲もないファミリードラマだ。ただしところどころ、不穏な部分が顔を覗かせる。

正直、自分は予告以上の内容を見いだすことはできなかった。劇中で描かれてることは想定の範囲内であったし、全編平坦に進むので、これで105分は少しキツく感じた。

ただ映像と音楽は素晴らしい。

こうした一枚画になるようなカットには見入ってしまう。

特に音楽を担当したミカ・レヴィ。
この人『MONOS 猿と呼ばれし者たち』でも音楽が印象的だったんだけど、今回も良かった!

今後、この人が音楽を担当してる作品はチェックしていきたい。

『関心領域』はまだまだ劇場で公開中。気になった人はチェックしてみては。


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ヴィクトリー下村
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