【忘備録】『汚れた血』を映画館で観てきた話【わが思い出のレオス・カラックス】
レオス・カラックス作品との出会いは『汚れた血』だ。面白い作品をとにかく漁っていた頃、「レオス・カラックスという凄い監督がいるらしい」という情報を聞いてDVDを購入したのがキッカケである。
最初見た時はわからなさもあったが、とにかくその格好良さが強烈ですっかり魅了されてしまった。その後、アレックス三部作を鑑賞したが、個人的に三部作で一番好きなのは『汚れた血』であることは変わりない。その時から「これはいつか映画館で観たい」と思っていたのだ。
そんな中、ユーロスペースで『We Meet Leos Carax!』というレオス・カラックスの作品の特集上映が開催された。名古屋のシネマテークでも5月28日から『We Meet Leos Carax!』を開催することが決定したが『汚れた血』は期間中に1回きりの上映。この機会は絶対に逃してはいけない。
上映当日、シネマテークはオンライン予約等はないため、確実に座席を抑えたければ劇場に行くしかない。『汚れた血』は期間中、1回しか上映しないため満席になることも予想される。上映は17時からだが11時頃に劇場に行き番号札を受け取った。
そしていよいよ上映時間、40席ある座席はほぼ満席。映画館で見る『汚れた血』はやはり素晴らしかった。今回上映されたのは35mmフィルム版。『汚れた血』の舞台設定は近未来ということになっているが、フィルムのざらついた感じがレトロな世界観とマッチしている。
冒頭のアレックスとリーズがバイクで疾走する場面からして素晴らしい。レオスカラックスは一つ一つの画がキメキメでため息が出るほど格好良い。
David Bowieの「Modern Love」に合わせて、アレックスが疾走する場面は、ここだけDVDで何度も繰り返して観た。自身の腹を殴りながら走るアレックスの姿はアンナへの恋心だけでなく、憤りや焦燥感も感じさせる劇中屈指の名場面だ。それだけに劇場で観た時は「くるぞ…くるぞ…!」とつい身構えてしまった。
また、今回改めて気付いたのがアレックスを取り巻く女性達の美しさ。観終わった後、劇場の外で「天使のようだった」と言っている観客の声が聞こえてきたが、そう思ったのも納得。
アンナ演じるジュリエット・ビノシュはもちろん、リーズを演じるジュリー・デルピーも魅力的だ。今までも綺麗だとは思っていたが、今回大きなスクリーンで観ることによって改めてその美しさに見惚れてしまった。当時、劇場で観た映画ファンたちはさぞかし彼女らの虜になったのだろう。
こうして考えるとアレックス役はドニ・ラバンで良かったのだろう。失礼な話、ドニ・ラバンを最初観たときはギョッとしたものだが、もしアレックスがイケメンだったなら、本作は美男美女だらけの嫌味な映画になりそうである…そんなことも思った。
本作はジャンル的には一応SFノワールというとこなのだろうか(クライム青洲映画?)。初めて観た時はただただ格好良い映画だと思ったが、10年近く経った今見返すと、非喜劇の面をより強く感じるようになった。
映画のラスト、アレックスが語る「自分の人生は下書きのようだ」という台詞。アレックスの人生は悲劇だと思う、だが同時に喜劇だとも思う。そしてこの二つはよく似ている。