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「なんでも話してください」と言うのはカンタン。でもリアルな話を引き出すのは根気がいる。

COVIDで苦しんでいた時、現場は混乱していた。

当然だ。お客さまからとのやりとりは今までと変わらないのに、通勤や勤務中に、感染しないかを気にしたり、家族の安否を心配するのが日常。気が休まる時がない。

僕はいちお、300人のトップとして、安全配慮をしながら苦労して業務を回していた。

現場のことももちろん心配だったが、それ以上に気がかりだったのは、それを束ねる現場のリーダーたち。数十人を束ねる彼女/彼らには、自分のことにプラスして、部下からの質問や、不安の吐露などがのしかかる。

それでも現場のことを一番理解しているリーダーに対応してもらわなければならない状況だった。

忙しい中ではあったが、毎日昼時に30分程度の招集をかけていた。目的は最新情報の共有による透明性の確保と、リーダーたちの声を聞くこと。

ある日。ひととおり情報共有を終え、いつもどおり意見を聞く。基本的にリーダーは遠慮しているのか、弱音を吐かないし、不平不満を口にしない。立派ではあるが、僕はいつもそれが不安だった。


具体的に聞いてみる。

『「こんなこと言ってしまってもいいのだろうか」ということでも話してください。』

それでもガマン強いリーダーたちのほとんどは、差し障りのないことを言う。

しかし、最後の一名だけは違った。


「正直部下の心配事を聞いているだけで、気が滅入ってきます。休みの日も連絡が止まらないし、心が休まる時がありません。」

ストレートに思っていることを言ってくれた。

正直に弱音を吐いてくれたことに感謝の意を延べ、どういう環境であれば少しでも安らぎが得られるのか聞き取り、即Goサインを出す。

施策による反作用として、現場の負担は増える。現場は一番大事な生命線。だがそれを支えるリーダーの守らなければ、一気に崩壊する。緊急時には優先順位をハッキリさせることが組織運営の基本だ。


後日、そのリーダーからメールをもらう。要約すると、

・今まで自分が発言すると、「ネガティブな意見を言うヤツだ」と思われていた。
・思いを伝えたことで、何かを叶えてもらえたのは初めてだった。
・ありがとう。

僕の前任者は、強烈なトップダウンで知られた人だったらしい。その名残は、人の心に長く残りゆく。そしてその"トラウマ"を払拭するのには時間がかかる。


美談のようだけど全く美談ではない。組織が正常に機能しているのであれば、もっと早くから問題を理解し、改善のために動けたからだ。

信用は時間をかけて醸成していくもの。「伝えてみたらなんとかなる」「間違ったことを言ったとしても大丈夫」。こういう感覚を組織の文化として浸透させていきたい。


しめじ
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