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忘れたくない夜。

2学期に入ってから、娘が登校したのは2回。

テスト準備期間に入ってから風邪を引いてしまったこともあり中間テストも欠席した。提出物もまだひとつも終わっていない。

課題に付き合うも、1時間で1ページ終えるのがやっとのことで、1ページが終わる頃にはお互いに疲弊している。

運動会の練習も始まっていて、体重が比較的軽いという理由で娘は騎馬戦の上に乗る役割になっている。練習にはまだ一度も参加していない。

楽しいと言っていた部活は、夏休みに入ってから一度も行っていない。

学校にまつわるものはどれもこれも、できていない。


「明日は学校に行こうと思うけど、行けなかったらごめん。」と毎晩のように言う。

謝らなくていいから、朝起きたら考えようと返す。

どこかで娘はまだ学校に行けるんじゃないかって期待してしまってること、わかっていたのかもしれない。

今日も、「行きたくない」から朝が始まった。
いつものことだし、何も思わなくなってきた。

今日は2人で朝からショッピングモールに行くことにした。ここ最近、ジャーナリングに興味を示しはじめたのでノートを買いに行きたいとのこと。

Loftや無印良品、DAISOなどが入っているのであれこれ回って私もちゃっかりお気に入りのノートを見つけて買った。

娘は表紙がバイカラーになっていて、リング型の方眼ノートを選んだ。DAISOで可愛いシールを見つけたからそれを貼ってオリジナルのノートにするらしい。

私は昼からMTGがあったので、ほんの1〜2時間ほどだったが、2人でノートや文具を見ている時間は楽しかったし、娘もとても楽しそうだった。

帰ってきて、早速ノートにデコする娘。
結構見た目から入るタイプである。

何を書けばいいか、文字はどれくらいの大きさか、裏のページは書かない方がいいかなど、逐一私に聞いてくる。

ママは叶えたいことを書いたりそれをどうすれば叶いそうか書いたりしてるけど、自分の好きに書いていいんだよ。と言うと他の紙に下書きをしてから、買ったノートに書き写していた。

すると、叶えたいことの中に

学校に行って、クラブも頑張りたい

と書いてあった。

その夜、いつものように「眠れない」と私の寝室にやってきた。

仕方なく娘の部屋に行き、眠るまで一緒にいようと寝転がると

「あのね、いつも夜になると、学校に行かなきゃって誰かに責められているように体がズッシリ重くなる。それがしんどくて、追い払いたくて自分を叩いてしまうの。それが嫌だーー」

と涙の玉が次々と枕に落ちる。

娘は昔から叱られたりすると、たまにだが自分を叩いたりすることがあった。

それは私に悪くないよって言ってほしい表れなのかと思っていた。
だからそういうことがあったら、自分を傷つけないでと抱きしめたり頭を撫でたりしていた。

でも、違った。

私が見ていないところでも、自分で自分を抑えるためにやっていた自己防衛だった。

本当は学校に行ってみんなと過ごしたいと思っていること。運動会の練習に参加したいこと。でも勉強は嫌なこと。クラブの友達の態度が冷たかったこと。みんなから後ろ指さされるんじゃないか不安なこと。

ポツリポツリと話してくれた。

ジャーナリング(まだ叶えたいことを書いただけ)によって娘本人も自分が叶えたい未来を発見したと言っていて、そのおかげで話してくれたのかもしれない。

そこまで具体的に学校に行けない理由を話してくれたのは初めてで、私は涙をこらえてとにかくうなずいて話を聞いた。

娘にはどこか淡い期待を持っていた。
学校に戻れるんじゃないかって。

でも、こんなにも苦しんでいたことに気づけなかったなんて。

「学校、行かなくても大丈夫だから。」

何度も言ってきた言葉だったけど、心の底から本心でやっと言えた気がする。

ずっとごめん。

そう頭で繰り返す間、娘は聞いてくれてありがとう。と何度も言う。

こんなに心の優しい子だったんだ。わかってるようで、全然わかってなかったんだな。

2人で手を握りながら、知らぬ間に夢を見ていた。

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