人事制度が気にくわないからって、睨みつけているだけじゃ変わらない
最近、職場で来年度の体制について話題になることがあります。
誰々が異動(転出)しそう
誰々は残留になりそう
皆さんの職場ではいかがでしょうか。
人事異動に関しては、こちらの記事が私の考え方の主なところです。簡単に要約すると「異動する理由もしない理由も分からない中で、自分なりに意味付けをして、納得して、仕事にやりがいを見出そう」ということを伝えようとしています。
ただ、やはりこの記事をお読みになっても「人事は全職員の異動の意味を明らかにするべきだし、それをしないのは職務の怠慢だ」と考える人はいるようです。
確かに、公務員の人事って理不尽だなとか、不合理だなって思う人は多いのでしょう。私も本音を言えば、言いたい愚痴の一つや二つはあります。
それでも、私は公務員の人事制度がイケてない件について皆さんとお話するときに、どうにかして人事課を悪者にせずに話したいと思っているんです。
そこに強固なロジックがあるわけではありません。
半ば感情的なことなのかもしれません。
目指すのは、みんなが仕事や組織に愛着を持ち、充実した気持ちでイキイキと働ける職場です。そこを目指すと決めたのなら、制度や仕組みは変えるべき対象かもしれませんが、人事課はそれらを変えるために手を組むべきパートナーですよね。
確かに人事異動も年功序列も人事評価制度も新卒一括採用も、制度や仕組みに対して言いたいことは少なからずあります。
でも、人事課という組織やそこの職員が悪意を持って今の制度や仕組みをつくり、維持しようとしているわけではないと、私は思うのです。
そこには人事部門とそれ以外の職員と間に、埼玉大学大学院の宇田川先生の『他者と働く』で言うところの「ナラティブの溝(適応課題)」があるのではないでしょうか。
今の人事関連制度があるのには、きっと人事当局なりの正しさ(ナラティブ)があるのでしょう。もしかしたら、中には変えた方がいいと思っている職員もいるのかもしれません。ただ、そこにはやりたい変革も実現させないような力学があるのかもしれません。
もし変化を促そうと思うなら、先方(人事当局)と我々の間に横たわる溝に橋を架けて、互いを理解し合う必要があります。そこで初めて目的・目標は共有され、人事制度の改革が住民に有益なのかどうかという視点で議論を開始することができるはずです。
少なくとも、横たわる溝のこちら側から、あちら側(人事当局)に向けてジーっと睨みつけているだけでは、何も変わらないのではないでしょうか。
皆さんは、いかがお考えでしょうか。
★ご報告★
おかげさまで初の著書を出させていただくことになりました!
主に若手公務員を対象に「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」という信念のもと、「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」というメッセージを込めて書かせていただきました。
そのあたりのことは、こちらの記事でもお伝えしています。
よろしければお手に取っていただけたら嬉しいです。
また拙著に関連する記事はこちらのマガジンにまとめて掲載していますので、併せてご覧ください。