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絶対ヲタクになりたくなかった私が、永遠に中学生なヲタクになっていた。
この記事は私立恵比寿中学 Road to Saitama カウントダウンカレンダー2月26日の記事です。他のファミリーが書いてくださってる記事はこちら
私立恵比寿中学 Road To Saitama カウントダウンカレンダー
(遅れてすみませんでした…)
ヲタクには、絶対になりたくなかった。
「○○ファンだよね!」を「○○ヲタクだよね!」と少し言葉を変えられただけで、周りの空気は一瞬で変わる。
ファンなら普通。ありふれた”趣味”。
深堀されることもなく「ふーん」で終わる。
でも、ヲタクは違う。
ヲタクに向けられる冷たい視線。
ヲタクだとわかった瞬間の、あの妙な空気。
まるで「こっちとあっち」の間に、見えない壁が立てられるような瞬間。
あれが、どうしようもなく嫌いだった。
本当に、本当に、
大嫌いだった。
だから。
私は違う。
私は絶対、ヲタクにはならない。
そう言い続けてきた。信じてきた。
ヲタクになんか、ならない。
ヲタクになんか…ヲタクに、な、んか……
「あっ、おかえり~!」
目が合った瞬間、はっと目を開く私の推し。
ちょっと低い声で、ふふっと笑って、くしゃっと顔を崩す。
何度だって慣れない感覚。
ひゅん、と縮こまり、ぼん!と爆発する、
いつもよりうるさい心臓。
高鳴る心拍数。熱くなる顔。
「あ、あのさっ!」と言葉を絞り出すのがやっとなのだ。
ヲタクにはならない。
そう思っていたはずなのに、
気づけば全身が推し色に染まり、
追いかけ、追い続けている。
そんな、どうしようもなく
ヲタクになっていた。
気づけばもう、2年前の話になるらしい。
Twitterを始めてすぐに、もやもやした気持ちをぶつけるように書いたnote。
まだ高校生だった私と、
本当に中学生だった推し。
今考えてみると、これはただの独り言だったのかもしれない。
誰かに何かを伝えたいわけでもなかった。
誰かに褒めてほしいわけでも、見つけてほしいわけでもなかった。
ただ。
どこかで自分を認めてあげたかったのだと思う。
こんな自分だっていいじゃないかと。
好きを貫くヲタクが、私には輝いてみえていたから。
根暗で、正直友達もあまりいなくて。
青春という青春は夢のまた夢のような日常。
進路にも迷っていたし、自分自身を好きになんてなれなかった。
そんな日々の中で
唯一、エビ中が救いだった。
推しである風見和香に救われていた。
エビ中に夢中になってる時間だけが
頭の中をエビ中だけにしてくれていた。
風見和香が頑張っているから、ギリギリ頑張れていた。
心の支えであり、動くためのエネルギー。
書いては消して、消しては書いて。
そんな繰り返しの中で書き上げたnote。
独り言であり、でっかい呟きであり、
自分の中で、自分に対する、宣言でもあった。
でも、まさかそれがちょっとバズるなんて思ってもいなくて。笑
鳴り続けるスマホの通知。
画面を見つめてあわあわする私に
「大丈夫?」と心配そうに覗き込む母の顔を今でも覚えている。
それからあっという間に月日は流れ
2025年、冬。
推しはあの時の私と同じ歳になり、
私は大学生になった。
今年で私は20歳になる。
推しは成人するらしい。
それでも。
推しは、永遠の中学生。
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心臓でいうとこの左心房。(キモイですよ)
私立恵比寿中学。通称、えびちゅう。
2年も考えたのに、未だに「えびちゅう」を一言で説明できない。
というか「エビ中」が「えびちゅう」になった。トレンドに入りにくいみたいなことで変わったらしい。世間的には「エビ中」に変わりなく、浸透はしてないけど。
16年前に生まれたグループ。既存のアイドルグループの中では大ベテランな歴である。
結成時に生まれた子供は、今年の春にリアルな中学校を卒業する年齢になっている。
永遠の中学生制度では中学7年生になった私は、大学進学で本州に引っ越し、"現場"に通えるようになった。
(大学進学を目指せたきっかけも、頑張れたのも、全部推しがいてこそ)
前述の通り、特典会で「おかえり~!」と迎えられ、顔を真っ赤にして話したいことを飛ばすのがほぼ毎度のこと。
(※そんな私を苦笑いしながら話を振ってくれる推し、優しすぎるんよ…)
ライブに行けば推しのパートのたびに白いペンライトをステージに捧げ、
ヲタクと話し、ヲタクと乾杯し、ヲタクと泊まることも。
大学進学で本州に引っ越したのに、わざわざ地元・北海道公演に遠征したり、
推しがゲストで呼ばれたラジオ番組の公開収録を見に10時間くらいかけて金沢へ行ったり、
レギュラーのラジオ番組にメールを送り続けて、気づけば“メール職人”と呼ばれる立場になっていたり、
推しが「バズりたい!」なんて言うからTikTokを投稿し続けたら、本当にバズっちゃったり。
…あれ?
ヲタクに…なりた、くな、い…?
いや
もう根っからのヲタクである。
本当にヲタクになるはずじゃなかったし、
あのnoteを書いた当時だって、ここまで沼にどっぷり浸かるとは思っていなかった。
でも、一度“現場の味”を知ってしまったのだ。
ヒグマは一度人間を食べてしまうと、
味を覚えて人間を襲うようになるらしい。
誰もいないステージ。止まらない手汗。
目の前で輝く推しと、体を貫くような歌声。
一瞬で沸騰した血が巡る感覚。
黄色い歓声、ペンライトを握る右手、震える左手。
がちがちに固まった頬、緩むと流れる涙。
拍手の中、会場が明るくなり、力が抜けて震え出す足。
大声で枯れた喉が発する「乾杯」と、キンキンに冷えたジュース。
そんな私も、
もう、引き返せない。
推しの話をしよう。
ずっと考えてて、いつか本人に伝えようと思っていたことを、
このタイミングで改めて考えなおして、ここに記しておこうと思う。
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風見和香ちゃん。通称、ののかまる。2007年生まれの17歳。
SASUKEアイドル予選会を皮切りにKUNOICHIや鬼レンチャンの300mリレーなど、えびちゅうのスポーツ担当(足速い担当)になりつつある。嬉しい。
というのも、彼女は元々真面目キャラ。
担当と言えど、クソ真面目担当。
運動という武器はアイドルになってから磨き上げたものなのだ。
真面目は、「個性」なのか。
加入当時から彼女のイメージは
礼儀正しくて、しっかりしていて、努力家な末っ子。
それは正直「個性」と言えるものではなかった。
当時のエビ中にはすでに強烈なキャラクターの先輩たちがいて、
加入した同期も恐ろしいほどに共通点がなさそうなクセの強さ。
歌が圧倒的にうまい子。
ダンスがずば抜けている子。
バラエティ力が高くて、喋りで場を盛り上げる子。
そんな中で「真面目」というのは、
彼女の純粋さを一番よく表す言葉でありながら
埋もれやすい記号だったのかもしれない。
与えられた役割をきちんとこなす。
求められたことを完璧にやる。
「ののかまるは、真面目な子」
よくも悪くも
そう評価されることが少なからずあったのではないだろうか。
えまゆなという同じ年の後輩が加入した後、
より一層彼女は「自分らしさ」を探すようになっていった気がする。
ただ与えられたことをこなすのではなく、自分の色を出していく。
「風見和香にしかできないこと」を見つけようとしていた。
そんな姿を表に見せたのが、BUBUKAでのインタビューでの発言だった。
「私以外の妹メン……ココユノとエマユナの4人がどんどん成長していってるのに、自分は全然だなって思っちゃったんです。私ってめっちゃ中途半端だなって思っちゃって。歌とダンスもどっちかが特化して上手なわけでもなく、意味がわかんないことも言えないし、冴えたことも言えない。その日は配信があって、私がMCだったけど全然うまくいかなくて、爆発したんです。」(略)
普段絶対に見せない言葉だった。
何があっても笑顔で、涙を流す映像さえも口角を上げていたアイドル。
あの子の叫びが、私の胸を締め付けた。
そんなとき、そっと引用したのが相談相手だった柏木ひなたさん。
彼女のBOSSであり、先生であり、師匠であり、姉のような方である。
わざわざ着飾ることも作ることもいらない
— 柏木ひなた (@_hi_99_na_) October 2, 2024
ののかはののからしくだよ
ちゃんと寝てますように!!! https://t.co/WVh9VoMqvl
愛しかねぇなと思った。
風見和香らしさとは、
着飾らない姿なのかなと、咀嚼できた気がした。
あの日。出逢ってしまったあの日。
真っ白な彼女から目が離せなかった、
あの日から。
彼女の持つ純粋さが。
彼女を動かす私立恵比寿中学愛が。
真面目と呼ばれた探究心が。
努力と根性をストイックさで突き詰め、
本当にものにしやがった。
特別目立った記録や経験があるわけでもない運動神経も、毎日欠かさないといった自主トレの中で化けた。
パフォーマンス中やMC中、自分にスポットが当たってないときでもみんなが楽しめるようにとくるくると変わる表情管理も、テレビに出演した際にワイプ芸として昇華された。
大好きなドリフで学んだ笑いは、バラエティーに活かされ、レギュラー出演までするようになった。
(生誕ライブで大爆笑をかっさらっていくアンコール演出にもなった)
昔から好きだという少女漫画は、誰にもできない特技として振ってもらえるようになったし(何よりパ行は”おいしい”笑)、
食べることが大好きと言えば、ファンであるステーキ屋さんとコラボまでした。
無色透明な白は、
風見和香だけの白に変わったのだ。
ただ、ひたむきに。
ただ、まっすぐに。
その真面目さが秘めたポテンシャルを開花させた。
しかも、大勢が見る前で、咲くべきときに咲いたのだ。
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元からすごくかわいい子だが、
この2年でずっと垢抜けて、コスメブランドのイメージキャラクターを務めるまでに。すごく大人っぽくなった。美しい。
なのに、口を開いて見ればずっと変わらない愛らしい口調。
「あのねぇ、これは〇〇なのね?でぇ、〇〇すんだけど〇〇なの。あ、〇〇じゃねぇや。すんません~」みたいな。
なんというか、、、令和の子と話してる感じが全くしないというか、、笑
特典会に通うようになって彼女と話す機会もできて、
いろんな感想や気になってることを聞いたりするようになった。
そこでよく感じるのは「よく見てる」「よく聞いてる」ということである。
「ライブ良かったよ~」と伝えると
「この間のライブ、あそこにいたよね?見つけたよ!」と教えてくれたり、
「〇〇さんと一緒にいたよね?仲良いんだねぇ!」と喜んでくれたり。
去年の春、私が一人暮らしを始めたばかりと知った彼女は
「いっぱい来てくれるのは嬉しいけど、、大丈夫なの?」とか
「ご飯食べてるの?(ファミリーに)大人いっぱいいるから甘えなね」
「納豆食べな!スーパーフードだから!」と
たびたび母なのかと思うほど声をかけてくれた。
(年下に言われるのは情けないですよ…)
極めつけに私の仲良くしていただいているヲタクに
「シマまるさんに納豆を買ってあげて!」と言い放ったらしく、
「一体何があったんですか…?」と心配されながらコンビニで買った食料を渡された。(納豆は冷蔵なので自分で買いました、家は静岡県です)
なんだか、とんでもねぇ子を応援してしまってるなと思う。笑
インスタもライブやテレビ、イベント情報やがわかりやすいようにまとめてあったり、
TikTokもバズりに乗るためにもいろんなパターンでえびちゅうの楽曲を上げてくれている。
それもあってなのか、
最近Twitterで「風見和香ちゃんって子かわいい」という言葉をちょこちょこ見かけるようになった。
どうやらSSAのチケットも買ってくださったらしい。すごく嬉しい。
すごいよ、のんちゃん。
KUNOICHIでの言葉を借りるなら
「ののかまる旋風」が巻き起こる序章なのかもしれない。
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ヲタクになって、よかったこと。
ヲタクになりたくなかった。
あんなに拒んでいたのに、
今はこの世界がたまらなく好きなのだ。
推しを通じて、老若男女問わず同じ熱量で語り合える仲間ができた。
推しを応援するたび、自分の人生だって前向きになれた。(悩みはするけどね)
もちろんそれだけじゃないけれど。
突然グループの形が変わってしまって、泣きはらした夜もあった。
うまく話せなくて家帰って反省した日もたくさんあった。
家族にSNSアカウントがバレて監視されてたり(下手なこと言えない)
知らないオタクに嫌みを言われたり叩かれたりすることだって、まぁ、ちょこちょこある。
それでも、
私の世界を動かしているのは
いつも私立恵比寿中学なのだ。
『堂々と言おう。
私は私立恵比寿中学が好きだ!ヲタクだ!ファミリーだ!
風見和香が好きで、こんな言葉人生で1度も言わないだろうと思っていたけど、正真正銘の犬だ!!』
読み返してみたら、2年前の私はこんな言葉を残していた。
もしあの時、「私はヲタクじゃない」なんて意地を張ったままだったら?
Twitterを始めてなかったら?noteを書いていなかったら?
きっと、こんなに夢中になれるものを知らずに過ごしていただろう。
「今日のライブ、いやぁあれは良かった!」
「あの曲のときの表情良かったですね!まさかセトリ入ってるとは思わなかったですけど」
「次の現場どこ?フリラ?SSA?」
「フリラです!てかもう来月SSAなんですね!楽しみだな~」
そんな話をするたびに、私は「ヲタクとして生きる幸せ」を噛みしめる。
ヲタクって、楽しい。
ヲタクって、誇らしい。
大好きな私立恵比寿中学を
大好きな風見和香を
応援できている私は幸せものである。
2025年3月20日。彼女たちは夢の舞台
さいたまスーパーアリーナに返り咲く。
チケットを2枚買って、母を連れて行くことにした。
北海道からの飛行機代宿泊代諸々出すのはちょっと痛いけど、ステージ上で輝く私立恵比寿中学を見せたい想いは変わらない。
楽しんでくれるといいな。
(「ミュージシャンのコンサートなんてまだふさふさだった時代の松山千春のしか行ったことない!」って言ってたけど、大丈夫かな…笑)
「じゃあ、また!」
何度でも。
どこへでも。
私はこれからも推しを追いかける。
ヲタクとして、生きていく。
ただのヲタク
シマまる