#ショートショート
【140文字小説】 一瞬
※月々の星々応募作品
テーマ:「放」
鞘から切先が放たれる。
空気が揺れる。
風が唸る。
両者の放つ殺気が舞う。
お互い敵の間合いだ。
鞘を引け。
呼吸を止めるな。
切先が敵の左米神に入る。
そのまま刀は右顎まで走る。
項垂れる敵。
敵は右手に刀を持っていなかった。
「何故だ。」
「俺に友は斬れん。」
最後まで奴が寝返った理由が解らなかった。
【140文字小説】 星光の悪戯
※月々の星々応募作品
テーマ:「放」
「久しぶり。」
お互いに微笑み合う二人。
星が放つ光に照らされて、二人は再び出逢う。
「どこにいたの。」
「ずっと側にいたよ、あの日から。」
「会いたかった。ずっと会いたかった。」
抱きしめようとしても彼には触れられない。
天の川の下、星の放つ光によって二人は出逢う。
七夕の日、星光の悪戯。
【140文字小説】 飛躍
※月々の星々応募作品
テーマ:「放」
「自分を開放しろ。」
「怖いよ。」
「何が怖い?」
「分からない。どうしようもなく怖いんだ。」
「自分らしく生きろ。思うままに進め。」
「思うままに?」
「そう心のままに。飛び立て。」
声は途絶えた。
好奇心が恐怖に勝った瞬間、彼は覚悟を決めた。
暗闇に光が差す。
殻を破る。