佐々木、現実的で非現実的な男であり作品。

佐々木、イン、マイマイン。
普遍性と物語性、というか映画的な展開の塩梅。匙加減が丁度いい。
過去と未来、理想と現実、生と死。対比で描くものはよく目にするが、同時に、並行して描くものを見るのは新しい感覚だった。
カットもかなり興味深いものが多く、目の演技を尊重したり前面に押し出すものが増えている昨今で、目を除いた演技が堪能出来た。ある種の引き算。
あるシーンでは、好きな洋画である「バードマン あるいは〜無知がもたらす予期せぬ奇跡〜」みを感じた。

「辰巳」で、藤原季節さんの舞台挨拶でのコメントに惚れ、今作は月額動画サービスでも観ず、予告すら見ずに足を運んだ。
それゆえキャスト陣にも地味に驚かされることが多かった。
下北沢が主な生息地であったり、上京し理想と乖離した生活に慣れ糊口を凌いでいるような人間には共感する点が散見されるだろう。苦しくなるし、目頭も熱くなるかも。
出来れば上映後に演者の方々の話を聞きたかった。
期待に反せぬ高い熱量の作品。非常に満足。

明日の若山監督の「若き見知らぬ者たち」が、楽しみでもあり怖くもある。

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