脱東京から半年、田舎暮らしで得た再発見。
こんにちは。しいたけクリエイティブ御用達ライターのえりです。
今日はしいたけのJapan Travel Awardsのサステナビリティ部門にちなんで、私が家族と共にこの春移住した、海と山の町・千葉県いすみ市での実体験を通しての再発見、そして今日から始められる環境アクションを紹介します!
この夏もまた日本各地を豪雨が襲い、50年に1度の大雨、観測史上最高という言葉はもはや、日常的に使う言葉となってしまいました。
ギリシャやトルコでの山火事に、自然災害のイメージがなかったドイツやベルギーでも洪水による多数の死者が。そして今日もNYを含むアメリカの広範囲を襲うハリケーンによる被害が大ニュースとなっています。
いつ、どこで、自然災害や異常気象が起こってもおかしくない今日、その対策を行政や企業だけに任せていいのでしょうか?
当然行政がルール作りをすることは重要です。でもその行政を作るのも私たち。つまり私たちが危機感を持ち、行動に移すことが気候変動対策には欠かせません。
個人レベルで気候変動対策を、と聞くと小難しく聞こえます。でも実は、日々の選択に少し工夫を加えてみる、それだけのことなんです。
田舎暮らしで、「心地いい」から当たり前になった選択
およそ半年前、千葉県九十九里浜の南端に位置するいすみに家族4人で移住して以降、自然と当たり前となったいくつかのルーティーン。
心地いいいから、楽しいから続いているこれら習慣は、実は環境にも優しい選択でした。
■畑で直接買う野菜
野菜は近所の農家さんの畑で採れたてを購入。作り手と直接、たわいもない会話をしながら収穫する野菜ほど、贅沢なものはありません。もちろん余計な包装もありません。
■コンポスト
毎日の生ゴミを堆肥に変える、コンポスト。生ゴミを土や枯草などで覆って放置すれば、夏場は3ヶ月程度で堆肥に変身してくれます。
可燃ゴミの総量が減って、ゴミ出しの頻度が減少。さらにコンポストの効果か、家庭菜園初心者にもかかわらず、すくすく野菜が育ちました。
■家庭菜園
初めて庭のある家に住んで、始めた家庭菜園。
子ども達は庭で遊びながら、赤く実ったミニトマトをパクリ。その他この夏は、長茄子、ピーマン、インゲン、枝豆なども実をつけてくれました。家庭菜園1年目にしては上出来です。
また最初はスカスカだったハーブガーデンも一夏で小さな茂みと化し、気が向いた時にローズマリーやレモンタイム、ミントなどのフレッシュハーブティーを淹れるのが至福の時間となりました。
■オーガニック給食
いすみ市内の小中学校の給食に出されるのは地元産の有機米「いすみっこ」。全国の自治体で初めて、2017年から給食で農薬、化学肥料を一切使わないお米を100%使っています。
お米に続いて、ニンジンや小松菜などのオーガニック野菜も積極的に使われるなど、自治体として有機農業を推進しています。
都会にいた時よりも、より季節を感じながら日々を過ごすようになりました。山と海に囲まれ自然に恵まれたいすみは、環境に配慮した生活を送りやすい場所と言えるでしょう。
忙しいからこそ求めていた、ゆとりある生活
このような生活はいすみだから、実現可能なのでしょうか?
私たちはこの春までは東京で子育て×共働きの文字通り毎日が綱渡り状態。
しかし2年前、偶然見た海洋プラスチックについてのドキュメンタリーが生活を見直すきっかけとなり、多忙な日々の中でも今と大きくは変わらない生活を送っていました。
忙しいからこそより一層、少しでも心のゆとりを感じる時間を求めていたのかもしれません。
今日から始められるエコ活
私が使い捨てプラスチックをなるべく減らすことから始めた自称エコ活動。そのうち、海洋ゴミやプラ問題に限らず、農薬や畜産など食にまつわる問題やジェンダー格差など、様々な社会課題が「環境問題」という言葉の裏でリンクしていると気付いたのです。
だからこそ使い捨てプラを辞めるだけではなく包括的にアプローチする必要があります。
エコ生活3年目、まだまだ道半ば(そしてゴールに到達する日はこないであろう)の私だからこそ勧めたい、居住地に関わらず今日から始められるアクションを紹介します。
■パワーシフト
家庭の電力に再生可能エネルギーを選択することで、個人レベルでも大きなインパクトを残すことができます。
電力会社の変更は、携帯のキャリア変更より簡単です。
所要時間5分、工事不要、月額料金は同等or安くなることが多いと言います。(我が家は引っ越し当初から再エネなので比較できません。前の家はマンションの一括契約で変更できず。涙)
もちろん電気の使用感は同じで、デメリットも見当たらないので変えない理由がありません。電力会社の選び方はこのサイトが参考になります。
■使い捨て容器の削減
・レストランなどのテイクアウトはタッパーに。(ミスドもタッパーに)
・最近増えつつある計り売り店で、必要な量だけ購入。
・豆腐屋、米屋、八百屋、パン屋などの小さな専門店では、持参した容器に入れてくれる確率大!ぜひお店の人とコミュニケーションを。
■ネイキッド野菜・有機野菜を選ぶ
ネイキッド/nakedつまり裸の野菜。一般的なスーパーでもバラ売りのきゅうり、玉ねぎ、ニンジンなどがあります。そのようなネイキッド野菜(もちろん横に置いてあるプラ袋は使わずに!)を選べばゴミを減らせます。
また最近は有機野菜のコーナーがあるスーパーも増えてはいるものの、やはり都市部ではこのような有機認証付きの野菜は高い。
でも野菜を付け合わせではなく、お肉や魚に代わる「メインディッシュ」と捉えれば、果たしてお肉よりも高いでしょうか?
近くに買える場所がなくても、有機野菜の定期配送サービスを利用したり、気軽にふるさと納税のリターンで地域の有機野菜を選ぶこともできます。(ちなみに、しいたけクリエイティブのクラウドファンディングのリターンでは減農薬野菜が選べます)
■定期的なミートフリーデー
植物性と比べて格段に環境負荷の高い動物性食品(特に牛肉・ラム肉・乳製品)の消費を減らすことも、インパクトの大きい気候変動アクションです。
美味しい野菜があれば、自然とお肉の消費も減ってきますし、美味しいヴィーガン料理(動物性不使用・プラントベースド)のレシピもたくさん紹介されています。そしていすみ市にも大好きなヴィーガンのお店があります♪(後述)
■誰かに話してみる
全ては書ききれませんが、最後にひとつお勧めしたいのが「こんなことやってみた」と人に話してみること。実際の友達に話すのが億劫なら、SNSでもいいのです。
私の場合、日々のエコ活を記録するインスタアカウントを作りました。
すると自然と同じ志を持った人と繋がることができ、また自分の知らない情報も得ることができます。
一人で生活を変えるのは少し孤独ですが、仲間を持つことは大きな活力になります。
「自然に寄り添う体験」という選択
それでもまだ、エコな生活に踏み出すハードルが高いと感じる人がポジティブに始められるきっかけ作りとして、レジャーや旅行の行き先を決める際、「自然に寄り添う体験」を選んでみるのはどうでしょうか。
そこで私がお勧めしたいのが、いすみ市にあるブラウンズフィールドです。
カフェでは、目の前に広がる田んぼで収穫したお米、地元の野菜を使ったマクロビ料理が味わえます。お肉や魚を使っていないのに、驚くほど満足感があり味わい深いのです。
季節を軸として、自然に寄り添った生活が営まれる古民家にも宿泊できるほか、田植えや稲刈りなどの農体験を通して、地域に根ざした循環型の生活を学ぶことができるブラウンズフィールドは、コミュニティの中心にもなっています。
私たちも去年の1度目の緊急事態後、田舎に行って癒されたい・・・と都心から2時間弱のこの場所を偶然訪れたのでした。
どこにでもある田舎とは違う、独特の雰囲気が漂ういすみが気に入り、それから1年も経たずして移住していました。
また子育て中のママたちが中心となって企画するのは、東京などから日帰りで参加できる、親子向け”いすみ体験”プログラムです。
季節ごとの野菜や穀物を農薬不使用で栽培する農園での収穫体験。そしてその採れたて野菜を調理して味わえるランチ会などを通して、農と食そして循環について学ぶことができます。
いすみは人口4万人に満たない小さな町でありながら、ヴィーガンケーキショップや地元の小麦を使ったパンを焼くベーカリー、自然食品店など、健康と環境に配慮した店もあります。移住者やインターナショナルな家族が多いためか、寛容でオープンな人が多く、いい意味で風変わりなド田舎です。
1人の100歩より100人の1歩
私たちはこういう生活が心地よいから、自然と続いています。
でも日本では多くの人がエコな生活は「不便、我慢、お金がかかる」とネガティブに捉えているように思うのです。
エコな生活3年目にして確信するのは、エコは決して高くないということ。
100円均一やドラッグストアにほとんど行かなくなったので、余計な買い物が減りました。必要なものがあれば、中古品がないか探し、なければその商品が5年使えるか、物によっては一生使えそうか、考えて買うように努めています。食材も選択肢があれば有機を選びますが、肉や魚を買う頻度が減ったので食費は変わりません。
こんなことを言うと、すごくストイックな生活を送る修行僧のようにみられそうですが、私たちはただシンプルな生活が快適だと感じる家族です。
疲れた日にはファミレスで夕食を済ませることもありますし、暑い日はクーラーもつけます。たまには子供がおねだりするソーセージも食べさせます。
一部の人が仙人のような生活をするのではなく、100人が生活をシフトする方が、楽しく、持続可能ではないでしょうか。
今日もどこかで異常気象
その一方でそんな悠長なことも言ってられない現実もあります。
この夏だけでも50年に1度の大雨、観測史上最高という言葉をニュースで何度聞いたかわかりません。
”異常気象がもはや日常”となっている今日、気候変動は遠い未来の問題ではなく、今を生きる我々世代に降りかかっている現在進行形の危機なのです。
先日公開された、国連機関IPCCが発表した最新の報告書。その内容を受けて、国連事務総長が「人類へのレッドコードだ」と警戒を強めました。
2050年ごろに世界全体の温室効果ガスの排出量が実質的にゼロになるペースで削減できた場合でも、2040年までに気温の上昇が1.5度に達する可能性が50%を超えると予測。(NHKより)
体温が1.5度上がればどれだけ辛いかわかるように、地球の気温が1.5度上昇することで猛暑や豪雨、台風の頻度はそうでなかった場合と比べ8.6倍にもなると言います。すでに異常気象が頻発するなか、脅威は目の前に差し迫っています。
毎日は「選択」の積み重ねです。私たち、そして前の世代が謳歌した暮らしを次の世代にも残すため、日々の選択に少しの工夫を加えることで、責任あるものにしていきませんか?
文:村角恵梨(むらずみえり)
2021年春、家族とともに千葉県いすみ市に移住。野菜作りなど自然を満喫する生活を送りながら、環境問題に取り組むスタートアップ企業で働きながら、ライターとしても活動。前職はテレビ局記者。
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