【小説】あと38日で新型コロナウイルスは終わります。
~久しぶりのネットカフェ~
アキナは、緊急事態宣言以降、ずっとネットカフェ行くのを自主規制していた。
始めは、緊急事態宣言中、ほとんどのネットカフェが営業停止していたこともあり、行きたくても行けなかったこともある。
ところが、緊急事態宣言があけて、営業が開始されてもアキナはしばらく行かなかった。
それは、新型コロナウイルス感染を恐れてではない。
新型コロナウイルスは、ネットカフェでは蔓延しない。
そのことについては、ネットカフェのヘビーユーザーであったアキナには確証があった。
ネットカフェはついたてがあり、私語厳禁なのだから、飛沫が生じるわけがない。
しかも、緊急事態宣言が出される前から緊急事態宣言があけた後もしばらく、店内のセルフドリンクや朝食は停止され、至るところ消毒のしすぎで消毒用のアルコール臭がするくらい、消毒が徹底され、その消毒臭も十分な換気によりすぐに消えていた。
それでも、アキナがネットカフェに行かなかったのは、万が一アキナが利用したネットカフェでクラスターが発生したと認定されたならば、看護師であり、医療機関に勤めているアキナには責任がありすぎたからだ。
でも、今日は。
アキナは8ヶ月振りにネットカフェに行った。
「いらっしゃいませ。」
アキナの緊張に反して、スタッフは以前と変わらぬ爽やかな笑顔をアキナに返してくれた。
スタッフも他のお客さんもみんなマスクをしていたり、いたる所に消毒液が置いている以外、コロナ前とは何も変わっていないようだった。
受付にあるお客さん用のモニターを見ると、客席はほとんどオレンジ色に染まっていた。
ネットカフェは大盛況だった。
新型コロナウイルスが終わるまで、
あと38日。
これは、フィクションです。
◆自殺を防止するために厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口
▼いのちの電話 0570・783・556(午前10時~午後10時)、0120・783・556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570・064・556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120・279・338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120・279・226(24時間対応)