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15年ごしのプロポーズ。

これは、「旅する日本語」の応募作品です。

「已己巳己し、已己巳己、
意外や意外、已己巳己し、已己巳己。」

「なーに、それ?」

「四字熟語だよ。今度、調べてみるといいよ。」

幼なじみの男の子は、鞄をクルクル回しながら去って行った。



「今度の日曜日、大切な話があるんだ。」

幼なじみの男性とは、付き合って8年、東京と大阪の遠距離恋愛になって3年だ。

正直、最近は会話も少ない。

だから、別れ話かもしれない。



「已己巳己し、已己巳己、
意外や意外、已己巳己し、已己巳己。」

「互いに似ているもののたとえなんでしょ?私達二人のことを言ってたのよね?」

「あれから調べてくれて、覚えていてくれたんだ。」

「ええ。」

「じゃあ、回文になってることは?」

「カイブン?」

「下から読むと?」

「シキミコイ、シキミコ、イガイヤイガイ、シキミコイ、シキミコ。……あっ!『君恋し』?」

「一生、ずっとそのつもりです。」

そう言うと彼は、私に指輪と新婚旅行と書かれたパンフレットの束を差し出した。

以上、規定400字以内の応募作品でした。

※「已己巳己」(いこみき) ・・・(字形が似てることから)互いに似ているもののたとえ。

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椎良麻喜|物書き(グルテンフリー/小説/エッセイ/写真)
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